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第20話:妹とチートスキルで無双し始めました

 ハデスの森に着いて奥へ奥へと入っていき、周囲に人目もなくなったのでミーナは大きくなった。


 黒の半袖シャツと半ズボンが伸びていき、お腹とおへそが丸出しになるが破れずにすんでいる。


「おにいちゃんが寝てる間に伸びる布で改良して、わざわざ着替えなくてもいいようにしました」


 前世で見た女子陸上のセパレーツの服みたいだが、シャツが伸び、胸に大きな球を入れたようにふくらんでいる。

 

 ミーナの裁縫の腕はホントにたいしたもんだ。



 森の奥へと入っていくと、ミーナが立ち止まった。


「たくさんのオークが近づいてくる気配を感じます」


 ミーナが前から抱きついてきて腰に手を回してくる。


「おにいちゃん、あれやってください。一気にケリつけますので」


 さっきと違って、今度は十八歳のミーナ。

 胸に大きなふくらみが押しつけられる。


「あれ、やらなくてもいいんじゃ……」


「ダメです。絶対必要です。やってくれないんなら、ミーナ帰ります」


 手を握りしめギュッと抱きしめる。


「ミーナ、愛してるよ。二人でオークをやっつけて稼ごうね」


「うん。おにいちゃん、愛してる」


 いつもの機械音声が聞こえ、ミーナから黒い霧のようなものが立ち昇ってツノが生え始めた。


 準備完了、と思ったときに草むらから男が数人現れた。

 あわてて、フードをミーナの頭にかぶせた。


「おー、サトルじゃねえか。おー、いい女連れてんなー。さっきのチビは捨てちまったのか」


「先にオークを何匹かつまみ食いに来たのか? たった二人でか?」


 さっき、ギルドでからんできたザックのパーティーだった。


「そういや、お前、貯め込んでるって軍で評判だったよなあ、退職金もあるんだろう。その金全部と女おいてったら命は助けてやってもいいぜ」


「こんなとこで死んだって、誰も気にしねーぜ」


 ヘラヘラ笑う男たちを気にせず、ミーナが一メートルぐらいの細い木の枝を拾ってヒュンヒュンと何度か振った後で僕に渡した。


「おにいちゃん、これでやっちゃって」


 受け取った木の枝と僕の全身が金色に輝き始めた。


 武器強化と身体強化の魔法をかけたのか?


「あんたたちなんか、おにいちゃんにかかればこの枝で十分よ! このハゲ!」


「なんだとー!」


 ザックが怒りにまかせて剣を大上段からミーナに向かって振りおろしてくる。


 あぶない! 

 木の枝でカン、と剣を軽くはじき返した


 なに⁉ と驚くザックの胴体に横から小枝を打ち込むと数メートル先まで吹っ飛んでいって地面にドサッと落ちて動かなくなった。


 後ろから斬りかかってきた男の剣を枝ではらって、胴に回し蹴りをくらわせる。

 男の体はヒュ――と弧を描いてはるか向こうまで飛んでいった。


「ミーナ……、ちょっとやりすぎじゃないか?」


「増幅してるのは、おにーちゃんですからミーナのせいじゃないです」


 黒魔道士が火球を撃ち、他の男が弓を引いて矢を放った。


 ミーナはタマゴ型の光のシールドで僕たちを包み、火球と矢をはじいた。

 右手を振って細い光の針のような光線を何本も放って、そいつらの手に刺した。


 男たちはギャーと悲鳴を上げて痛みに地面にうずくまる。


 瞬時に四人が倒されたので残りの四人はもう向かってくることはなく、ケガ人を抱きかかえて逃げていった。


「クソ、カタキはオークに取ってもらうさ!」


 一人の男が逃げながら大人の頭ぐらいの黒い袋を投げてきた。

 地面に当たり中からゴロッと丸い物が転がり出てきた。


 ツーンと鼻をつく、肉の腐ったにおいがただよい始める。


 ザックたちが去って行くのを見届けて、その臭う物の方へミーナと近寄っていった。


「なんだ、これ?」


「腐ったオークの頭みたいですね。仲間をおびき出すための、まき餌みたいなものでしょう」


 ミーナが体を起こして周囲を見渡した。


「来ます」


 ミーナが目を閉じて右手で頭上に円を描くと、そこから赤い光の輪が現れて周囲に広がっていき、直径数十メートルぐらいにまで大きくなり、そして消えた。


 ミーナが目を開いた。


「周囲にオーク二十匹、捕捉」


 二十匹⁉ 野生のオークの群れは普通は五、六匹のはず。

 思えば討伐隊が結成されるほどの規模だと警戒しなければいけなかった。


「囲まれてるのか?」


 あわてて腰の剣を抜くが、ブタのような頭に牙を生やした巨大なオークがブヒブヒと鼻から荒い息を吐き、棍棒を持って何匹も向かってくるのが見えた。


 そいつらの足元に赤い魔方陣が描かれている。


「おにいちゃん、大丈夫です。もう術をかけてます」


 草むらから現れてこちらに向かってくる十数匹のオークの足元にも赤の魔方陣があり、動きに合わせて移動していく。


「黒魔法奥義、追尾型獄炎柱連撃!』


 ミーナが右手を下から上に振るとオークの足元から魔方陣にゴォーと火柱が吹き上がり、空に向かって高々と昇っていく。


 そんな火柱が周囲のあちこちに二十本立ち昇った。

 炎の中からブギャーとオークの断末魔が響いた。


 そして炎の柱は十字架に変わり消えていった。


「これまでは二本しかできませんでしたけど、今日は二十本できました。やっぱり、おにいちゃんの力はすごいです!」


 二十本の獄炎柱なんて見たことない。

 しかも、敵についていく追尾型? なんだそれは?



 炎が消えたので手をつないで注意しながらオークの方に歩いていく。

 しかし、燃え尽きた炭のような黒いかたまりがあるだけだった。


「これ持って帰ってもなんだかわかんないですね」


「頭は残さなきゃだめかな」


 ミーナの体がビクッとこわばり、手をギュッと握ってきた。


「第二波、来ます」


 さっきのように目を閉じたミーナが頭上で手を回すと、今度は金の輪が周囲に向かって大きく広がっていった。


「オーク、三十四匹、捕捉」


 たくさんのオークが木の陰や草むらから現れるが、今度は体の前に金色の魔方陣が光っている。


 棍棒で魔方陣を殴ろうとしたり、逃げようと体をひねっても魔方陣は常に体の前についていく。


「白魔法奥義、逃げてもムダよ光の矢たくさん撃っちゃうんだから!」


 どうして白魔法奥義の名前はどれもダサいんだろう。


 ミーナが腕を横に振り払うと魔方陣から光の矢が何本も発射され、オークの体に穴を開けて貫いていく。


 たった数秒で全てのオークは地面に倒れ、あたりは静まりかえった。



「おにいちゃん、これならいい?」


 ミーナはなにごともなかったように地面に横たわるオークの死体を指さした。

 胴体にコブシぐらいの大きさのたくさんの穴が血も流さずポッカリとあいている。


 すごいな、これだけのオークが瞬殺か。


「ねえ、おにいちゃん、ミーナたちって二人一緒だと、たぶん……ちょっと強いと思うんですけど」


 いや、たぶんじゃなくて、ちょっとじゃなくて、絶対にかなり強いと思うよ。


次回、『第21話:妹が羞恥プレーを強要します』に続きます。


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