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第16話:妹の初体験をパパ活のオヤジ気分ですませました

 ジロジロと男たちの視線を浴びてミーナと並んで歩くが、二人の手首がヒモでつながれていることに気づく者もいる。


”あの魔道具ってあれだろ”

”変態だ”


「おにいちゃん、腕を組んだ方が自然に見えますよ」


 うれしそうに腕を絡めて歌いながらピョンピョン跳ねだす。


「おにいちゃんとデート、初デート、街デート、うれしいーなー!」


 ミーナが跳ねるたびに、白いシャツの下でオッパイが上下に激しくブルンブルン揺れる。

 男たちはさらに目を見開いて立ち止まって動きを目で追っている。


「食事の前に服を買おう。あと、その、下着とかもいるしね」


「下着ですかー? パンツならおにいちゃんのでいいですけど」


 やれやれ、今の自分になにが必要かが全くわかってないな。



「いらっしゃいま……」


 服屋に入ると若い女性の店員が笑顔で迎えてくれたが、 魔道具を見て固まってしまった。


 いろいろ事情がありまして、と言い訳して、この店はレオノラに紹介されたことを説明した。

 レオノラには故郷のいとこに服をみやげに買いたいと言っておいた。


「まあ、レオノラ様のご紹介ですか!」


 上客と思ったのだろう店員の目の色が変わった。

 店の奥へ入り、両手に山のように服を抱えて戻ってきた。


「これもお似合いですよ」


 試着ができないので、ミーナの身体に服を当てて鏡で見るだけだが、似合いそうな服をドンドン出してくる。


 色違いのワンピース、カントリードレス、ブラウスにミニスカート、ホットパンツ、タンクトップ。

 

「おにーちゃん、これカワイイ!」

「これ、きれい!」


 すごくはしゃいでるな。街に行くのは初めてと言ってたぐらいだから、こういう店で服を買うのも初めてなのかな?


「ミーナはどれがいい? 好きなのを選んでいいからね」


「んー、あれもいいし、これもいいし……、全部いいです! おにいちゃんが決めて下さい」


 と言われても、ワンピースは女性らしいし、白いブラウスは清純な少女っぽさを強調するし、ホットパンツはミーナのきれいな長い脚を目立たせるし……。


「全部ください」


「いいの、おにいちゃん⁉」


 ミーナは大喜びだ。


 レオノラの短剣がかなりの額で売れたし、本当に全部似合ってるからな。

 それに、なによりもミーナの喜ぶ顔が見たいから。


 前世で流行っていたパパ活に金を使うオヤジたちの気分は、きっとこんな感じなんだろうな。

 

 ミーナは裁縫道具を借りて、買った服をつないだままの手でも着られるように袖や横の部分を切ってボタンつけたりしていく。

 店員さんも驚くほどの腕前だ。


 こういうの見てると、ミーナは十八歳に思えるんだけどなあ……。



 試着室のカーテンに右腕を突っ込んで着替えるのを待つが中からミーナの悲鳴が聞こえてきた。


「イヤー、オッパイきつい-! こんなのいらなーい!! おにいちゃん、助けてー!」


「お客様! 女性は家の外でこんな立派な胸をブルンブルンさせてはダメなのですよ!」


 店員さんに下着も一通り選んでもらっていたのだが、初めてのミーナに手こずっているようだ。



 ようやく、試着室のカーテンが開いた。


「おにいちゃん、似合う?」


 少し照れ気味にミーナがカーテンから出てきた。


 うわー……。

 その姿に思わず息を飲んだ。


 黒髪に一番合う色だと店員に勧められた深紅のワンピース。

 下着で形を整えられた盛り上がる胸。

 ひざ上の裾からスラリと伸びる白い脚。

 

 か、かわいい……。

 前世なら絶対、アイドルになれるな。


「この服、おにいちゃんの初めてのプレゼントですね!」


 そう言って抱きついてうれしそうに胸を押しつけてくる。


 アイドル級の美少女にこれほど好かれて、一日中ずっと一緒。

 あれっ、僕って実はすごい幸せ者?



 そのまま深紅のワンピースを着て、大きな紙袋を二人で分けて持って手を握りながら大通りを歩いていく。


「服はずっと母さまの手作りだったので、お店で服を買うのって初体験だったんです」


 やっぱり、初めてだったんだ。


「ねえ、おにいちゃん、みんな、私たちを見てますよ」


 周囲を見回すと、すれちがう人たちは男も女もミーナを見ている

 さっきよりも露出度は低いが、美しい長い黒髪に深紅のワンピースがイヤでも人目を引き、そしてミーナの美しさ、均整の取れた顔立ちと完璧とも言えるボディラインに気づく。


”いい女……”

”きれいな人”


 こんなふうに思っているのが顔の表情からわかるが、ミーナはわからないようだ。


「こんなステキな男性とデートしてる私がうらやましいのですね。もっと見せつけちゃいましょう」


 そう言いながら腕を組み体を擦り付けてくる。

 

 その考え、絶対間違ってるからね。



 庶民的な食堂の丸テーブルに並んで座り、ちょっと厚めのステーキをぜいたくに頼んでみた。


「おにいちゃん、はい、お口あーん」


利き手の右手をつながれてフォークもスプーンもろくに使えない僕の口元にフォークに刺した肉をミーナが差し出してくれる。


 店内の客が僕らに注目している。


「ミーナ、みんなが見てるよ……」


「おにいちゃんみたいなステキな男性と食事ができるミーナがうらやましくてしょうがないのですね」


 それ、絶対に逆だから。



 そして、宿屋に戻った。


 前世でいえば安いビジネスホテルか。

 小さなベッドがある部屋につながった小部屋にトイレとシャワーがあり、シャワーの前が布のカーテンでさえぎられている。


「トイレは恥ずかしいですけど、おふろはいっしょでいいですよ。お背中ながしますね!」


「こ、ここはせますぎるから、今度、大きな浴槽があるようなとこで一緒にゆっくり入ろうね」


「えー、つまんないですー」


 プーとふくれるミーナをとにかく納得させて、一人で入ってもらった。 だって、僕の理性が持たないから。



 ドアのスキマから腕を突っ込み、まずミーナに服を脱いでもらう。

 そのあと、カーテンの向こうでシャワーを浴びてもらう、ということにしていたのだが……。


「おにーちゃん、これ、一人じゃ取れないー!」


 ミーナが半ベソでブラジャー、こちらでいうならコルセットか、パンティーの下着姿でドアから飛び出してきた。


次回、『第17話:妹が「メチャメチャにされてもいいの」と甘くささやいてきます』に続きます。


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