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金VS知恵——モテ神攻略、第一戦

この物語は、ちょっとヤンチャで頭のキレる双子が、言葉と知恵だけで学園の“常識”をぶっ壊していく青春逆転劇です。


第2話では、学園のモテ神・桐生がしかけた「化粧品の売上勝負」という一見ふざけたような勝負に、双子がどう挑むのかを描きました。

今回は、笑いあり、知恵あり、そして少しだけ心が動く場面もあったかと思います。


双子の策略と成長、そして祖母・琴音の“昭和知恵”が炸裂する今回。

ぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。


「化粧品の売上を含めた評価勝負?ふん……それで勝てると思ってんなら笑えるよ。」



放課後の教室。桐生 蓮は取り巻きたちを背に、スマホをいじりながら笑っていた。


「だってよ、金で全部買い占めりゃいいだけだろ。売上=金。俺に勝てると思ってんの?」


誰もが頷く。学園の“モテ神”である彼は、ルックス・家柄・影響力、どれも超一級品だ。金で動く世界の理を熟知していた。


しかし――

その読みは、完全に甘かった。



「ちょっとだけよ〜って言って、手に馴染ませるの。」


カトちゃんのちょっとだけよ〜作戦というわけだ。


夕飯時のリビング。祖母・琴音は、真剣な表情で双子を睨みつけていた。


「おい、琴音……“ちょっとだけよ”って、またドリフかよ。」


涼太がため息をつくと、妹のはるかはテンションMAXで笑った。


「それ、絶対バズるやつじゃん!私がやる!!」


「……お前、絶対“ちょっとだけ”じゃ済まさねぇタイプだよな」


「いや、お前はすでにやってんだよ。問題はこいつだ。」


琴音が涼太を指さす。


「涼太、お前は顔も声もいい。自覚せぇ。お前が接客してサンプルを“ちょっとだけよ〜”って出すだけで、売れる。」


「マジで意味わかんねぇ……けど、まぁ……やってみるか。」



はるかは、すでにバイトしているドラッグストアで“推し商品のサンプル”を大量確保。

今回の勝負は、土日に開催される化粧品キャンペーンが舞台。琴音の作戦はこうだ。


「“メーカー推し商品”は土日に売ると特典がつく。つまり、その商品を売れ。」


プレゼントあり

ポイント10倍

限定ノベルティ(=モテポーチ)

→ 若い客層に刺さる仕掛けが揃っている。


琴音はさらに、ある作戦を持ち出した。


「お前たち、事前に予約を取れ。土日に引き換えにくる仕組みにすれば、売上が保証される。」


「え、それって……」


「そう。店舗在庫が無くなっても、先に“売った”ことにできる。知能戦じゃ。」


涼太とはるかは顔を見合わせ、ニヤリと笑った。


「面白ぇ。やってやるよ。」



準備期間、涼太は苦戦していた。


「えっと……化粧水? 乳液? ちがうの? クレンジング? 何それ……」


「もう〜!これは導入美容液!これは仕上げ用ミスト!あとトーンアップは……!」


はるかの怒涛(どとう)の化粧品レクチャーが飛ぶ中、涼太は必死で覚えようとした。


そして、初めての接客。


「お試しで、塗ってみませんか?」


手の甲に少しだけ乗せて、優しくなじませる。

鏡を見た女子高生の頬がゆるんだ。


「うわ……サラサラ……えっ、なんか肌きれいになった気がする……」


「似合ってるよ。たぶん、肌質的に相性がいいんだと思う。」


少し照れながら言う涼太に、女子は目を丸くした。


「これ……買います。」


涼太、人生初の“化粧品での成約”だった。


(……すげぇな、こんなに喜んでもらえるのか。)



一方、はるかはSNSでの戦略を仕掛けていた。


《この化粧品…正直、革命的なんですけど?》 《しかも!モテポーチ付きで!》 《予約OK!私のバイト先で週末引き換えできるよ!》


→ はるかの可愛い手元+ナチュラルメイクの映え動画が、瞬く間に拡散。


LINEやDMで予約が殺到。


「じゃあ、代金は先にもらっておくねー♪ 商品は土日に来てね〜♪」


引換券を渡すはるかの笑顔に、女子たちは皆うっとり。


まさに、「楽しさ」×「得」×「モテ感」の黄金サイクルだった。



土日。

涼太とはるかが働くドラッグストアは、開店から大行列だった。


予約者が次々と来店し、プレゼントを受け取っていく。


「これ、売上……やばくね?」


「しかも全部“事前決済済み”。完全に計算通りだよ。」


一方、桐生の陣営。

豪華なポスター、美人の販売員、SNS広告で確かに客は来ている。


だが、少ない在庫を“金で買い占めた”ため、肝心の商品が足りず、クレームが発生。


「買いに来たのにないって、どういうことですか?」


「せっかく予約してきたのに……」


「もしかして売上だけ作って、品薄演出してんの?」


桐生の目が険しくなる。


「くそっ……何なんだよ、あいつら……!」



日曜の夜。


店長:「君たち……すごいな。ここまで盛り上げたの、うちの店舗じゃ初めてだよ。」


琴音:「当然や。あいつらは売るんじゃない、“届けてる”んやからな。」


結果、桐生の売上金額は若干上だったが――


顧客満足度

リピート率

店舗評価

SNS好感度

すべてにおいて、双子の圧勝だった。


「……金だけじゃ、人の心は動かせねぇんだよ。」


涼太は小さな声で言い、空を見上げた。


「“モテ”の定義、ちょっと変わってきたかもね?」


はるかがウインクする。


桐生はスマホを閉じ、口元をゆるめる。


「はるか、だっけ……あの子だけは、ちょっと興味あるな。」



その夜、スマホに一通の通知が届いた。



【桐生:次の勝負、近々送る。今度は“心”だけじゃ勝てねぇぞ】



「さぁ、次はどんな手でくるのかねぇ……」


湯飲みを置き、目を細めた。


「……特に“女”に向けてな。」




最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


2話では「金vs知恵」というテーマを軸に、双子の作戦勝ちが描かれましたが、次回からは“心”や“感情”に踏み込んだ新たな展開に入っていきます。


次の勝負は、一筋縄ではいかない「恋愛」と「駆け引き」。


桐生の「落とせない女はいない」という自信満々な言葉の裏に隠された本当の狙いとは?

そして、はるかはどう動くのか。


涼太はどこまで冷静でいられるのか――


次回もぜひお楽しみに。

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