表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

いじめ? そんなもん、秒で論破してやるよ

この作品『ヤンキー双子のモテ遊び改革』は、学園の秩序を支配する「モテ神」と呼ばれる男に、最強のヤンキー双子が挑む物語です。


双子の兄・涼太と妹・はるかは、ただのヤンキーではありません。

頭脳も戦略も兼ね備えた彼らは、拳だけでなく論破や心理戦で学園の歪んだルールをぶち壊していきます。


そして、彼らを育てたのは、かつて「伝説のヤンキー」と呼ばれた祖母・琴音。

双子の成長、学園の理不尽への反撃、そして「モテ遊び改革」とは一体何なのかーー。


痛快でスカッとする学園バトルが、ここから始まります。

ぜひ、楽しんでいただければ嬉しいです。


「なあ、お前の“正義”って何? 言ってみろよ。」


昼下がりの1年B組。

騒がしい教室の中心に、ガタガタ震える不良グループ がいた。

そして、それを冷たい目で見下ろす 双子の兄・涼太と妹・はるか 。


いじめの主犯格が 今まさに公開処刑 されようとしていた――

……言葉で。


「な、なんだよ……お前ら、関係ねぇだろ……!」


主犯格の男は顔を引きつらせながら、後ろにじりじりと下がる。

しかし、涼太はその逃げ道を塞ぐように 机をドンと叩いた 。


「みんなやってる? だから俺らも従えって?」


「そ、そうだよ……クラスの総意なんだよ……!」


涼太は(あき)れたようにため息をついた。


そして、ポケットから 紙と鉛筆 を取り出し、無造作に男へ放り投げた。


「へぇ、じゃあ“みんな”の名前書けよ。ほら、紙と鉛筆やるからさ。」


「えっ……」


「“クラスの総意”なんだろ? なら“みんな”の名前くらい、書けるよな?」

涼太は腕を組み、ニヤリと笑う。


男の手が震えた。


「書けねえ? なんで? みんなの総意じゃねえの?」


ピシッと教室の空気が張り詰める。

周りのクラスメイトたちが ゴクリ と息をのんだ。


男の顔が青ざめていく。

机に置かれた紙を見つめ、何も書けない 。


双子の妹・はるかが クスクスと笑いながら、近づく。


「ねぇ、涼太。」


「ん?」


「“みんな”って……誰もいないんじゃない?」


その言葉が 決定打 だった。


不良グループのメンバーが、次々と顔を背ける。


「えっ……まさか……?」


男が 顔面蒼白 になった瞬間だった。


「……お、お前ら、俺を裏切るのか!?」

男は仲間を見回すが、誰一人として助けようとしない。


「“みんな”がやってる、ねぇ……?」

はるかは すっと顔を近づけ、男の耳元でささやいた。


「……ダッサ。」


次の瞬間、バタバタバタッ!!

主犯格は 教室のドアを開けて、逃げるように走り去った。


残された不良グループの面々も、次々と席へと戻る。


いじめの構造が、わずか数分で崩壊した瞬間だった。


教室中が静まり返る。

その沈黙を破ったのは――


「うおおおお!!」


「すげぇ……双子、マジでカッケェ……!」


「いじめっ子を **“言葉” でボコボコにした……!」


「ヤンキーって、もっと乱暴な連中かと思ったけど、こいつら 頭もキレるのかよ……!」


クラスメイトたちが、双子を見て 尊敬と畏怖(いふ)の入り混じった視線 を向けていた。


涼太とはるかは 「ふぅ」とため息をつきながら、お互いに視線を交わす。


「……で、終わった?」


「まぁな。次はどうする?」


はるかは 涼太の肩をポンと叩き、ニヤリと笑った。


「決まってんじゃん。モテ遊び改革だよ。」


学園の常識をぶち壊す、ヤンキー双子の改革が、今始まる――!!

学校での"公開処刑"を終え、家に帰ると、リビングには見慣れた後ろ姿があった。

祖母・琴音 ーーこの家の 最強の支配者 。


「ただいまー」


靴を脱ぎながら、涼太が適当に声をかける。

しかし、琴音は振り向きもせず、テレビの画面に集中していた。

ドリフターズのコントが流れ、「8時だョ!全員集合」 のテーマソングが響き渡る。


「お、今日もドリフか。」


はるかがポップコーンの袋を開けながらソファに座る。

涼太も隣にどかっと座ると、ちょうど志村けんがひっくり返るシーン で、祖母が爆笑した。


「っはっはっはっ!相変わらずバカやってんなァ!!」


祖母は膝を叩いて笑い、すぐにギロリと双子を見た。


「で? 今日は学校で何やらかした?」


まるで全部お見通し かのような視線。


「……やらかしたっていうか、ちょっと整理しただけ。」


涼太が肩を少しあげると、はるかがニヤッと笑った。


「いじめっ子を一瞬で黙らせたんだよね〜」


「ほぉ……」


祖母は腕を組み、双子をじっくりと観察するように見つめる。


「あたしの孫なら、ただの暴力で片付けるような真似はせんやろ?」


「当たり前でしょ。殴らなくても勝てる方法があるなら、それを使う。」


涼太がドヤ顔で言うと、琴音は ニヤリと満足そうに笑った。


「いいねぇ。お前ら、なかなかの育ち方しとるやないか。」


琴音は再びテレビに目を戻し、コントの続きを見始めた。


「ドリフターズみたいになれよ。」


「はっ?」


双子は無言で顔を見合わせ、「こいつ何言ってんだ?」という視線を交わした。


「バカやって、笑って、でも最後にはみんな納得する。それが"本物"や。」


「……相変わらず、深いようで浅い話するよな。」


涼太が苦笑し、はるかは微妙な表情をした。


「でも、おばあちゃんのおかげで"本物"になれたよ。」


そう、二人はこの祖母に育てられた。

ずっと 母親 だと信じていた。


ーーしかし、真実を知ったのは高校に入る前のことだった。


「私たちは知らなかった。母親だと思っていた人が……まさかの祖母だったなんて。」


幼い頃から 琴音を母親だと疑ったことは一度もなかった。

優しくて、強くて、怒れば鬼のように怖いけど、誰よりも頼れる存在。


けれど、戸籍を見たとき、すべてが崩れた。


「え? ……おばあちゃん?」


信じられなかった。


琴音は、「気づくのが遅い」とでも言うように ケラケラと笑った。


「お前ら、今までなんであたしのこと"母ちゃん"って呼ばなかったか、考えたことあるか?」


確かに、"お母さん"ではなく、"おばあちゃん"でもなく、ただ 「琴音」 と呼んでいた。


「お前らの母親は、もうおらん。」


琴音は それ以上のことは何も言わなかった。

それ以来、双子はその話題に触れることなく、いつも通りの日常を送ることにした。


「まぁ、母親だろうが祖母だろうが、変わらねぇよな。」


涼太が腕を組みながら、軽く笑う。

はるかも 「そうそう!」 と同意する。


「琴音が育ててくれたんだし、それがすべて。」


「あたしも、今さら"おばあちゃん"なんて呼ばれたら違和感しかないわ。」


琴音が バシッ と涼太の背中を叩く。


「……いって! もうちょい手加減しろよ!」


「うるさい!ヤンキーなら背中叩かれたぐらいで文句言うな!」


バチン!とはるかの背中も叩かれる。


「ちょっ……痛いんだけど!!」


「お前ら、ヤンキーなんやろ!? それぐらい耐えろ!!」


「……昭和のスパルタ教育すぎる……」


涼太とはるかは 同時にため息をつく。


そんなやり取りを繰り返しながらも、二人は心の中でこう思っていた。


(琴音に育てられたのは、やっぱり運命だったんだろうな。)


「で、お前ら。」


琴音が ズズッ とお茶をすすりながら、ニヤリと笑う。


「学校でいじめ解決したんなら、次のターゲットは決まっとるんやろ?」


「……まぁね。」


涼太とはるかは 不敵な笑み を浮かべる。


リビングのソファに寝転びながら、涼太がはるかに問いかける。

はるかはスマホをいじりながら、ポップコーンをつまんでいた。


「決まってんじゃん。学園の“モテ遊び”をぶっ壊す。」


「お前、また面倒くせぇこと考えたな。」


「だってさ、調子に乗って人を(もてあそ)ぶ奴らがモテるのって、意味わかんなくね?」


はるかはスマホをポンとテーブルに置き、涼太の方を見た。


「“モテ”って名前で好き勝手やってる連中が、この学園の秩序を牛耳(ぎゅうじ)ってるんだよ。そんな奴らがカーストの頂点にいるとか、ありえなくない?」


「……まぁな。」


涼太は腕を組みながら、深いため息をついた。


「要するに、"モテ"の名のもとに好き勝手してる連中を論破して、学園の空気を変えるってことか?」


「そう!」


はるかがニヤリと笑う。


「学園の頂点にいるつもりの奴らに、本物の“怖さ”を教えてやる。」


「昭和とは違って……今の時代はジトジト、ねっとりとした陰湿な奴が多いんだなぁ。」


この学園には、“モテ神” と呼ばれる男がいる。

金持ちのボンボンで、顔も良く、いつも女子に囲まれている。


彼は「モテる=権力」という空気を作り上げ、「顔の良い奴だけがスクールカーストの頂点に立つ」 という風潮を生み出した張本人だ。「カースト上位の奴らってさ、結局みんな長いものに巻かれてるだけなんだよ。」


はるかは、琴音の口癖を思い出す。


「お前はお前で最強になれ! 長いものには巻かれるな!」


涼太は微笑んだ。


「要するに、“本物のモテ”ってのを見せつけりゃいいんだな?」


「そ。ヤンキーが本気出したら、学園のモテ基準ぐらいぶっ壊せるでしょ。」


はるかが不敵に笑いながら、スマホを操作する。

数秒後、涼太のスマホがピロンッと鳴った。


「ん? 何だこれ?」


「『学園モテランキング 2025』 の投票サイト。トップは当然、あの“モテ神”だけど……」


涼太が画面をスクロールすると、1位の男の隣に載せられた紹介文が目に入った。


【1位:桐生きりゅう れん

・ルックスS+、運動神経A、家柄S+、学力B

・圧倒的カリスマ。学園の女子の8割がファン!?

・『好きにならない女子はいない』という伝説あり


「はぁ……」涼太は大きくため息をつく。

「『好きにならない女子はいない』……? 何その安っぽいキャッチコピー。」


「でしょ? だから、このランキング自体、ぶっ壊しちゃおうよ。」


「……面白えな。」


涼太はスマホをテーブルに放り投げ、腕を組んだ。


「“学園のモテ”の定義を変えるってことか?」


「そう!」


はるかがパチンと指を鳴らす。


「顔や金だけじゃなくて、本当に頼れる奴、カッコいい奴がモテるっていう“新基準”を作るの。」


涼太は少し考えた後、口元が緩んだ。


「……つまり、俺らが学園の新しい“モテ”の頂点に立つってことだな?」


「そういうこと♪」


ポップコーンを口に放り込みながら、はるかがウィンクする。


「“ヤンキーのモテ力”、見せつけてやろうぜ。」




――翌日の放課後。


人気のない裏校舎。

数人の不良グループが、涼太とはるかを囲んでいた。

昨日、双子によって**“いじめの構造”を破壊された** 主犯格の男が、仲間を引き連れ待ち伏せしていたのだ。


「おい、待てよ。」


「昨日はよくも恥をかかせてくれたな!」


「俺らを誰だと思ってんだよ、調子乗ってんじゃねえぞ!」


しかし、双子は動じない。


「え? お前ら、また負けに来たの?」


涼太がニヤリと笑うと、不良グループの連中がムッとした顔で詰め寄る。


「うるせぇ! やっちまえ!」


不良グループが涼太に向かって殴りかかる―― だが、次の瞬間。


バキッ!


涼太の拳が相手の拳を弾き飛ばし、逆に地面にめり込ませる!


「っ…!? てめぇ…!」


涼太は一歩も動かず、相手の拳を真正面から受け止めていた。

だが、それだけでは終わらない。


後ろにいたはるかがスッと前に出ると、主犯格の胸倉を掴んで引き寄せた。


「あのさ、アンタもう終わってんだよ。」


はるかの言葉に、男の顔がゆがむ。


「何言って――」


「いじめがバレてんのに、まだイキれると思ってんの? 頭お花畑すぎるんじゃねぇ?」


はるかがニッコリ笑う。

男の顔が青ざめる。


「お、お前、何言って――」


「昨日の時点で、あんたの評判はもう終わってんのよ。」


はるかがポケットからスマホを取り出し、画面を見せる。

そこには 『天凰学園、いじめの主犯格が論破されて崩壊!』 というタイトルのスレッドが表示されていた。


「ネットって怖いねー。いじめの詳細、もう広まってるみたいだよ?」


「て、てめぇら……」


「これで、お前の言う“みんな”は完全に消えたな。」


涼太が大笑いした。


「お前、もう学校に居場所ねぇだろ?」


「ぐ、ぐぅ…!」


男の表情が苦悶(くもん)にゆがむ。

その背後で、不良グループの連中がザワつき始めた。


「……やべぇな。」

「アイツと関わると、俺らまでヤバいんじゃね?」


仲間だったはずの連中が、一歩ずつ後ずさる。


「お、お前ら、俺を見捨てるのか!?」


「悪いな……俺ら、長いものには巻かれるタイプなんで。」


「……お前の“みんな”って、結局そんなもんだったってことだよ。」


はるかがクスクスと笑いながら言う。


「っ……!!」


バキッ!!

最後の一発で、主犯格は地面に沈んだ。


「これで、いじめっ子グループ終了っと。」


はるかがパンパンと手を払う。


「次は、学園の“モテ神”攻略ね♪」


「双子のヤンキーが学園の秩序を壊してる? 面白ぇじゃねぇか。」


学校の屋上で、ひとりの男が笑っていた。


整った顔立ちに、爽やかな微笑み。


白いシャツをゆるく着こなし、風になびく髪。


天凰学園の**“モテ神”**こと、桐生きりゅう れん


彼はスマホの画面をスクロールしながら、ある記事を読んでいた。


『高校、ヤンキー双子がいじめっ子を秒で論破!』


「へぇ……なかなか面白ぇことやってんじゃん。」


スマホを閉じ、屋上のフェンスにもたれかかる。

数人の取り巻きが、横から話しかける。


「桐生さん、どうします? 最近、あの双子がやたらと目立ってますけど。」


「まぁ、放っておけねぇよな。」


桐生はククッと笑い、ポケットからチョコレートを取り出し、口に放り込む。


「学園のモテは、俺が決めるもんなんだよ。」


彼はゆっくりと立ち上がると、青空を見上げながら(つぶや)いた。


「……お前ら、この学校の“モテ”のルールはオレが決める。」



放課後――


双子のもとに、一通のメッセージが届いた。



『お前ら、学園の頂点を狙う気らしいな。だったら勝負しようぜ。明日、屋上で待ってる。』


涼太とはるかはメッセージを見つめ、顔を見合わせる。


「……マジで来たな。」


「ま、想定内でしょ。」


はるかがスマホを見て、ニヤリと笑う。


「学園の“モテ神”、本当に神かどうか試してやろうじゃん。」



『勝負しようぜ。お前らが本当に学園を変えられるって言うなら、これに勝ってみろよ。』


そこに書かれていたのは――


《テーマ:店の売り上げ勝負》


「……は?」


涼太とはるかは 同時に顔をしかめた。


店の売り上げ? モテとどう関係があるんだ?


桐生の意図が読めない。

しかし、琴音は ニヤリと笑いながら、湯飲みを傾けた。


「ほぉ……そのガキ、やることが小賢(こざか)しいな。」


涼太とはるかは顔を見合わせ、口を揃えて言った。


「……なんか、めんどくせぇことになりそうだな。」





ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

第1話では、双子が学園の理不尽に立ち向かう姿を描きました。

そして、次回から本格的に**“モテ神”桐生との対決**が動き出します。


まさかの**「売り上げ勝負」**という謎の対決。

なぜこんなテーマなのか?

桐生は何を狙っているのか?

双子はどんな戦略で挑むのか?


次回、さらに面白くなる展開をお届けしますので、ぜひお楽しみに。

感想やコメントもお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ