龍の姿
腕は硬い金色の鱗に覆われ、鋭く青い爪が細い指先についている。長い胴体と尾は青白磁のふさふさした毛に覆われ、何より、少年の真っ黒な目に映った、深縹の目を持った顔はファンタジーの’’龍’’そのものだった。
そして俺がその龍だった。
それに見知らぬ少年の膝の上におさまるくらいのチビ龍だ。
しばらく思考停止して固まる。俺は、さっきまで、紛れもない人間で、、
・・・本当にそうだったか?人間・・・?だんだんと頭の中が空っぽになっていく。
朦朧とする頭から記憶がこぼれ落ちていくのをボーと感じる。
そう感じたら急に怖くなって、思わず涙を流した。
それを見た少年は驚いたように言った。
「大丈夫?」
どうやら俺の心配をしているようだ。
泣いても頭の中から何かが抜け落ちていく感覚は消えないが、さっきまで感じていた刺すような全身の痛みは柔らかくなっていった。
俺を膝に抱えたその少年が俺の頭に手を置いて言った。暖かい手だ。
「疲れてるんだね。僕が連れて帰ってあげる。」
家・・・。不意に単語が頭をよぎった。家ってなんだっけ・・・?
「・・・・おやすみ。」
少年の静かな声が聞こえる。
俺はゆっくりと目を閉じた。
美しい音楽はずっと頭の中でかすかに鳴り続けていた。