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鈴の音
どこからか美しい鈴の音が聴こえてくる。
それに呼応するように笛と太鼓も鳴っている。
不意に、今までの暗闇に光が差した。
・・・ここはどこだ?
目を開けると、そこは見知らぬ場所だった。
「やっと起きたね。」
近くで可笑しく笑うような声が俺に呼びかけた。
・・・体が変だ。妙に頭が重い。ゆっくりと声がした方を向くと、少年がこっちを見ていた。
長い姫毛が青いビーズで結ってある。視界にモヤがかかっているが、平安の貴族のような麻呂眉で、吊り目だということはわかった。
「君の名は?」
少年が口を動かす。夢を見ているようで働かない頭で、自分の名前を思い出そうとする。・・・あれ?俺って誰だっけ・・・。
俺は幼い少年をただ見つめ返すことしかできなかった。
「逃げてきたの?体がボロボロだよ。」
そう言われて初めて、身体中に激痛が走った。痛みのせいで頭が少しはっきりした。
自分の身体を見て目を見開く。
普通の人間だったはずの俺の体は・・・・俗にいう’’龍’’になっていた。