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お題シリーズ5

人がいる場所に行きたい

作者: リィズ・ブランディシュカ



 人がいない。


 どうしてこの村には人がいないんだ。





 ハイキングに出掛けて、その日のうちに帰るつもりだったのに、そうはならなかった。


 山の中で迷って、そのままずっとさまよっていた。


 もう、死んでしまうかと思ったんだ。


 でも遭難してから三日目に、やっとたどり着いた。


 小さな村に。


 これで助かったと思ったのに。


 人の気配がまるでしない。





 あちこち歩いてみたけど、そこはとても不気味だった。


 妙に静かで、虫の声も何もしない。


 ここは廃村なのだろうけど、まるで世界から切り離されたかのような雰囲気だった。


 それから丸一日探索したけど、とうとう人には出会えなかった。


 夜は手ごろな家にお邪魔して、眠った。


 けれどとつぜん、金縛りにあって、驚いて飛び起きる。


 いったい、何がと思ったら、そこにいた「それ」と目が合った。






 驚いた俺は逃げまわった。


 最初は村を出ようとしたけど、出られなかったから。


 えんえんと同じ村の中を走り回るしかなかった。


「それ」は、つかずはなれず俺を追いかけてきている。


 きっといたぶってるんだ。


 絶法に苦しむ俺をみて、あざ笑ってるんだ。


 背中から不快な笑い声が響いてくる。


 耳をふさぎたい。


 必死で走った俺は、ただこの村から出たいと願っていた。


 普通の場所で、普通の人間に会いたい。






 どれくらい走っただろう。


 力尽きそうになった俺の前に、一人の人間の姿が。


 助けをもとめよう。


 これで助かるかもしれない。


 そう思って、最後の力で走りよった俺は絶望した。






 そこにいたのは、人の皮を脱ぎ捨てた「それ」だったからだ。






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