零型“初版“
「おじいちゃん、おかずクラブ“秋の里芋の煮っ転が、こんにちは」夕方母の頼みで近所に住む祖父の家におかずをお裾分けに向かう。祖父は古いものを取り扱う骨董屋だ。古い刀剣、宗教な壺、本に掛け軸、時計に宝石など多種多様な品揃いお宝の数々は子供の頃の遊び場としては不自由しなかったほど、そんな骨董屋だからこそ“曰く付き“な商品も多い「うーん里芋の煮っ転がしスーパーやコンビニもあるっちゃあるけど」物欲しそうな女性客いや客じゃない「また厄介毎、どっかの先生にでも頼めばいいのに」タッパに入った里芋をホクホクと食べながら「家庭の味あざーす、先生は出張してるの、数週間帰らないの、それにここへは聞き込み(写真を一枚見せる)“人を食べる本“って信じる?」「刑事より小説家になった方が良いのでは、変な事件ばっかり追ってると婚期逃しますわよ」里芋食うなとタッパを取り合う。そんな二人を余所に「かなり古いの然し材料がバラバラじゃみた感じ“一見古く見えて出来たのはこの頃(レンズの倍率を上げ写真を見る)“神……聖……複……零型“本のタイトルかの初版らしいの、ふう小さい字面は見えにくいの(写真を返す)それで“人を食べる本“の概要は?」里芋を飲み込み「ここ数ヶ月複数の町を挟んで行方不明者が立て続けに出ているのです。部屋はそのままや旅行の予定を立てている人も居ました」「夜逃げなどではない、何故?本なのだ路上で誘拐された等は?」「中には家族と数分前まで一緒だった方も居ます。ですが全員に共通する事も」女性刑事はバックから複数のカードを取り出す。プラスチックのカードや紙のカードが数十個「なるほど、市立図書館のカードか」「はい全員がある一冊の本を借りていたんです。先に言っておくと本の所有は今は不明です“返却不要な本“なんです」首を捻る女の子「返却不要?どういうこと」「言葉の通り勝手に図書館へ帰ってるの」「何マジホラーじゃん」市立図書館にある一冊の本、この本は図書館のあちこちにあり場所は一定ではない。借りる際は本を持ってカウンターへ………然しこの本の返却記録は一度もない図書館のデータベースには貸し出しの記録のみ並んでいるのだ。この本の噂はネットで広がった………だがいつ誰でも借りれる訳ではないテレビの特集やYouTuber等がこぞって取り上げるもガセで終わることばかりだった。一通りの都市伝説を語る刑事お芋がよろしいようでとタッパが空だ。