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男装女子は竜を飼いならす。  作者: 月嶋のん
男装女子と竜騎士の日常。

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誘拐される男装女子。


まさかの男と間違われたまま、どうやら拐われた私。

だけどさ?縛ったんなら体触ったよね?それともベルキスさんみたいに魔法を使ったから分からないとか?‥どちらにしても泣けるんだけど。複雑な心境の私を知る事なく男性達はなおも話をする。



「痺れ草を大分嗅いだようだから、今日1日は起きないだろ」

「ああ、そうだな。このまま船に乗せてすぐ出航だ」

「本当にこんなの売れるのか〜?」

「まぁ黒髪だし、魔力もあるだろうから大丈夫だろ」



散々な言われよう過ぎて‥泣いてもいい?

乙女心に尋ねたけど、今は泣いてる場合じゃなさそうだぞって諭されたけど、ずるくない?



馬車はガラガラと音を立てて走るけど、石畳を走っているのか私はあちこち頭を打つのでいい加減起きたいけれど、起きない方が良さそうだと思って必死に耐えた。痛い、地味に痛い。



と、馬車がようやく止まった。

男の人達はちょっと薄暗い道沿いに馬車を止めて降りていく。

私はそっと目を開けて周囲を見ると、外は早朝のような青空だ。‥あれからそんなに時間は経ってないのか?


そんなことを考えていると、カツカツと歩いてくる音が聞こえて私はまた目を閉じる。私、意識ない人間。意識ない人間!体から力を抜いていると、バサッと布をめくる音が聞こえて、声を抑えた会話が聞こえてくる。



「‥よし、よくやったな」

「はい、手筈通りあの草を使いましたが、もう燃え尽きているんで騎士共にも分からないと思います」

「分かった。すぐに馬車は隠せ。小僧はすぐに船の中へ」

「はい」



‥小僧。

小僧って言ったよ、どっかのおっさん。

19の花の乙女に小僧‥。もう泣く。絶対船に乗ったら泣く。


そう決意していると、男の人が私の体に布を被せたかと思うと、頭と足を2人がかりで持ち上げて私を運んでいく。どこかで波のチャプチャプと揺れる音が聞こえて、本当に海なんだなぁって思っていると、不意に体が浮いてどさっと床に落とされたから、うっかり声が出そうになるのを必死に我慢した。


いった〜〜〜!!!

女の子なのに!!女の子なのに、ものすっごい手荒く扱われた!!ぐっと歯を食いしばると、



「はー終わった、終わった。竜が追いかけてきたらどうしようかと思ったけど、草の効果はすごいな」

「あれで1日は確実に動けないからな」

「強いくせに香りに弱いとか、笑えるよな」



はぁあああ?!

ぶっ飛ばす!って思ったけど、動けない‥。ドアがバンと閉じられる音がして、静かになってしばらくしてから布から頭を出した。周囲を見回すと、小さな船室の一室に私が動けないと思って放置されているようだ‥。



布の中で手足を動かしてみると、うん‥動くな。

いつでも布を被れるようにそっと体を起こして、縄で縛られているので、ちょこちょこと歩いて慎重に船室の窓の外を見る。どうやらまだ船はまだ出てない様子だな。



首元に手を当ててみると、鍵のペンダントがない。クソ〜〜、ベルキスさん呼べない!



だけど私がヒョロイ男だと勘違いしていたおじさん達は、手を前にして縛ってる。護身術をベルキスさんに教えてもらったけど、普通は後ろで手を縛るらしい‥から、ものっすごい甘く見てるって事だな。部屋の中を見回すと、一本釘が出ている所がある。


‥どうか気付かれませんように!


縛られた足をちょこちょこ動かして、必死に釘にロープをゴシゴシと擦って千切れるように動かす。手首は痛いし、心臓はバクバクするし、こんなの花の乙女にものすごい無理な展開だと思うけど、これが現実!!



ブチっと

ロープが一本ようやく切れた!

ここまで出来れば、なんとかなる!!片手であちこち引っ張ったら、ロープが外れた!舐められてて良かった!!足元のロープも急いで外して、被された布の中にロープを放り込む。


その辺に置いてあった物を布の中に突っ込んで、なんとか人間1人いるっぽい形跡を作ってから、扉の方へ耳を澄ますけど、誰もいる気配ない‥?



ゆっくりドアノブを回してみると、開いた!!

どんだけ舐められてるんだ私。でもラッキー!そっとそっとドアを開くと、幸いにも誰もいない。



よっしゃ!!すぐに出よう!

そっとドアを閉めて、すぐ隣にあった船に飛び乗った瞬間、



「おい!!逃げてるぞ!!」

「あ、あそこだ!!」



見つかったーーー!!!

私を指差したおじさん2人が慌てふためいて私の方へ走ってくるので、私はまた隣の船に飛び乗った!



「おい!待て!!」

「あいつを早く捕まえろ!!」



おじさんが叫ぶと、船の先からぞろぞろとおじさん達が出てきた!あ、あんなにいたんかー!!?





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