一難来た?男装女子。
鍵を握って呼べば駆けつけるとは言ってくれたけど‥、本当だったんだ!!
と、驚くけれど、今はそれどころじゃない!
「べ、ベルキスさん!」
「ちょっと待ってろ」
そう言うと、ベルキスさんはおじさんの腕を軽く捻り上げかたと思うと、あっという間に地面に倒して、魔法なのか地面から縄が出てきて全身縛りつけられた。おじさんもあまりの事に驚いて、ポカーンとしている。
「ミヒロ、悪い。ちょっと待ってろ」
「は、はい」
ベルキスさんはそう言うと、すぐラスカさんが止めていたおじさんも魔法で縛って地面に転がしてしまった‥。え、すご、早い‥。ラスカさんは「すんません!!」って謝っているけど、ベルキスさんは責める事なく「すぐ警備隊に連絡してくれ」と話してから、こっちへ駆け寄る。
「ミヒロ、ロアン、怪我はないか?」
「「はい‥」」
私とロアン君は同時に返事をして、同時に頷くと、ベルキスさんが小さく笑う。
「兄弟みたいにタイミングが一緒だな」
はい!男〜〜〜!!!
完全に男の子の兄弟扱い〜〜〜〜〜!!!
一瞬、ちょっとときめいちゃったけど、冷静になれました!ありがとうございます!!!
と、キノが私の首元にタックルしてくる。
「キノ!!大丈夫?助けようとしてくれて、ありがとう」
「キュウウ〜〜〜」
キノがグリグリと私の首元に顔を寄せるのでそっと撫でると、ベルキスさんがじっとこちらを見ている。なんだろ?何かあった?って、まだお礼を言ってない!!私は慌ててベルキスさんを見上げて、
「ベルキスさん、助けてくれてありがとうございます!あの、急に呼び出してすみません‥。し、仕事あるのに‥」
護身術だって教えて貰ってたのに‥。
思わず俯いてしまうと、ベルキスさんが私の頭をわしゃっと撫でる。
「仕事は大丈夫だ。それよりもちゃんと呼んでくれて安心した」
「え?」
「助けを呼ぶ方が大事な事だ」
ふわりと柔らかく微笑んでくれて、それだけで胸が一杯になる。
さっきまで怖かったのに、そんな風に言ってもらえて優しい言葉に泣きそうになると、ベルキスさんはちょっと慌てた顔になる。
「と、とりあえず!そこのベンチでロアンと休んでてくれ。警備隊にこいつらを引き渡してくる」
「え、でも、何かお手伝い‥」
「頼むから、座っててくれ」
「‥はい‥」
ベルキスさんにそう言われたら、もう頷くしかない‥。
ベンチに座って心配そうに見上げてくるロアン君にもお礼を言う。
「ロアン君、迷惑かけちゃってごめんね‥」
「いえ!僕こそ力及ばず‥。ここは魔法を極めて、あんな時は一発でノシてしまえるように頑張ります!」
‥なんていうか、ロアン君ならすぐにでも出来そうだ。
頷いていると、警備隊の人達が数人こちらへやって来た。
「ベルキス副団長、ありがとうございます!!」
「いや、大丈夫。それより、そっちを頼む。あとしばらくここいらを巡回に入れてくれ。最近そういう輩が多いらしい」
え、そうだったの?
私とロアン君は顔を見合わせていると、さっき絡まれていた店主のおじさんが紙袋一杯お菓子を入れてやってきた。
「これ、あっちの竜騎士さん達と食べてくれ」
「え、でも、こんなに?」
「‥ああいうの、本当に多くて困ってたんだ‥。相談もしてたんだけど。やっぱり竜騎士の人が一言言ってくれると話が早くて助かる。‥あ、ここだけの話な!」
店主のおじさんはちょっと茶化して笑ってから「また今度来てくれ」って言って、自分の屋台へ戻ると、ベルキスさんやラスカさんにもお礼を言っていた。色々あるんだなぁ‥なんだか複雑な気持ちでいると紙袋にキノが顔を突っ込んだ!
「こ、こら!!!キノはだめ!もうさっきも食べたでしょ?」
「キュウ?」
「そういう可愛い顔をしてもダメ!さっきだってロアン君に果物貰ったんでしょ?」
「キュウ‥」
ジトーッと見つめるキノに私は思わず笑ってしまう。
うん、なんだかまださっきの事があってドキドキしてたけど、ちょっと落ち着いてきたかも?そんなことを思っていると、ベルキスさんとラスカさんがこちらへやって来る。
「あ、ベルキスさん、さっきお菓子を頂いて‥」
「ああ、俺からも礼を言っておいた。ところでミヒロ」
「はい?」
「‥俺は街へ行くとは聞いてないが?」
「え?」
「今度行く時は、一緒にと言ったが?」
「ええーーっと‥」
ど、どうしたらいいかなぁ?
チラッとラスカさんとロアン君を見たら、速攻で視線を逸らされた!!
あ、ひどい!!!裏切り者め〜〜〜!!
私はなんて言い訳をしたものかと、目を泳がせつつ‥
「家に帰ったら説明します‥」
と、なんとか言ったけど…。これ、怒られるの?やっぱり怒られるの??怖いしかないんだが〜〜〜!!
店主のおじさん、星の実入りジュース大好きで
1人で売り物を飲んでは奥さんに怒られる。




