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男装女子は竜を飼いならす。  作者: 月嶋のん
男装女子と竜騎士の日常。
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複雑!男装女子。


黒い竜ことディーに体を掴まれて、空を飛んだ私。

‥神よ仏よ、私は19歳の乙女なのにこの仕打ちはどうかと思います。



芝生の上を飛び、滝の側まで行くと、岩かと思っていた岩壁に窓が付いているのに気が付く。そうして、その岩肌の一部に大きな竜が着地できるくらいの広いスペースがあるのに気付く。



「ディー、そこに置いてくれ」



ベルキスさんがそう話すと、ディーはゆっくりとその広いスペースに降りると、私とベルキスさんをそっと地面に下ろしてくれた。い、生きていた!!生還できた!!私は感動で泣きそうなのと、初めて空を飛んだ衝撃で足がガクガク震えてヘタリ込む。


「なんだ空を飛んだぐらいで」

「だからあああ!!私の世界には竜なんていないんですってば!!」


涙目で睨むと、ベルキスさんは「竜がいない世界なんて信じられない」といった様子で私の腕を引っ張って立ち上がらせてくれた。



「ディー、ありがとう。狩に行っていいぞ」



ベルキスさんがそう言うと、ディーは飛び上がろうとするので私も慌ててお礼を言う。


「え、あ、で、ディーありがとね‥」


そう言うと、ディーはちょっと目を細めて「キュ!」と鳴いたかと思うと、一気に空を飛び上がったので私はまたも風圧に転びそうになると、ベルキスさんが私を受け止めてくれた。



「‥お前、体幹弱いな」

「あの!!私は一般庶民ですけど!??」



そんなガッツリ鍛えているようなベルキスさんと比較されても!

そう思ったけど、この髪の短さだと男と認識されちゃうようだし、恐らく女だって言ったの忘れてそう‥。やばい、泣きたい。しかし、仕事と寝床の為に今は涙を堪えろ!私の乙女心!!



周囲にも人はいたけれど、ベルキスさんは気にすることなくズンズンと歩いて行くので、私も慌てて付いていく。


「あ、あの、どこへ?」

「団長の部屋だ。結婚許可書もらってすぐに名前を書く。そうすれば結婚成立だ」

「早い、何もかも早い‥。って、団長?」


そういえば騎士団って言ってたけど、ベルキスさんってもしかして‥



「‥ベルキスさんって、騎士なんですか?」



私が聞くと、ベルキスさんの足がピタッと止まる。

そうして私をまじまじと見つめる。え、な、何??何か違ってた?聞いちゃいけなかった??私が戸惑った顔をしていると、ベルキスさんは面白そうにニヤッと笑う。



「‥俺を知らないってのは、なかなか面白いな」

「え、だって私さっきこっちへ来たし‥」

「そうだな。俺は騎士だ。ここ「竜の巣」を守る竜騎士団の副団長だ」

「え、結構な役職じゃないですか!!」

「‥そういうのは分かるんだな」



そりゃまぁ、ファンタジーな漫画とか読んだ事あるし‥。

そう思ってベルキスさんを見上げると、また再び歩き出すので私はあとをついていく。



「ここリシャフは、竜が卵を産み、ある程度大きくなるまで成長させる聖なる場所だ。俺はディーとこのリシャフにある「竜の巣」を守る守り手として働いている」


「そ、そうなんですね」



竜は大きくなるとこの国の騎士と一緒に戦う存在になるので、その竜を命がけで守るのが仕事らしい。それはすごいな‥感心していると、木の扉が見えてノックだけしてベルキスさんは部屋へ入って行く。



「おい、フィクトル、結婚許可書出せ」

「はぁあああ!?何言ってるんだ、ベルキス??」



大きなデスクの向こう、長い金髪を後ろに結んだこれまた甘い顔立ちのイケメンが驚いた顔をしてベルキスさんの発言に驚いている。



そうして、ぱちっと後ろにいた私を目が合う。



「え、何、もしかしてそこの男の子と結婚する気?」



男の子ーーーーーー!!!!!

しかもこれは完全に私は少年に見られてない?!

私は乙女心と大人としての自尊心までも傷つけられて、泣きそうになる。っていうか、心の中で血の涙だ。ベルキスさんはそんな私を気にする事なくチラッと見て、



「19だ。結婚年齢には達してる」

「そ、そこ!???」



私は思わず突っ込んだが、私は悪くない。全く悪くないぞ?

フィクトルと呼ばれた男性は、私を可哀想なものを見る目つきで見るけれど‥、それはそれでなんていうか傷つく。乙女心って本当複雑だ‥。





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