パーティーで宣言される男装女子。
ベルキスさんがやってきてくれた!
助かった!って思ったけど、ベルキスさんは私の顔を見るなり、ちょっと固まってしまった‥。ロアン君、一体私の顔に何をしたの???
一刻も早く鏡を見たい‥。そう思っていたのに、
「あら!なぁにもうベルキスったら来てしまったの?」
髪を編み込んで、片方に流し、白い花飾りに合わせて白いドレスを着たレイノル様が騎士さん達を引き連れて、こちらへ呆れた顔をしてやって来た。うわぁ、可愛い!可愛いけど、原因が来た‥。
ベルキスさんはそんなレイノル様に礼をしてから、
「‥レイノル様、私のパートナーを断りもなく連れて行かないで下さい」
「あら、フィクトルには言ったわよ。連れて行くって」
「‥‥事前に、次回は仰って下さい」
「もう、うるさいわね〜〜」
二人のやり取りに、皇族ってこの国の最高権力者だってロアン君から教えられた私としては、オロオロしてしまう。だ、大丈夫?不敬になっちゃわない?
と、レイノル様が私を見て、ちょっと目を丸くする。あ、やっぱり顔やばい???
「久しぶりね、ミヒロ。今日はいつもと感じが違うのね」
「‥お久しぶりです。今回は、お招き頂きありがとうございます。‥似合わない、でしょうか?」
こんな事言わない方がいいんだけど、思わずぽろっと溢れてしまった言葉に、レイノル様は慌てて、
「そ、そんな事ないわ!!とても素敵よ!!」
と、顔を赤くして言ってくれた。
‥いい子だなぁ〜。いきなり襲撃のようなスタイルでこっちへ連れて来たけど‥。そっか、でもレイノル様が素敵って言うなら安心かな?ホッとする私を、ベルキスさんは複雑な顔をして見つめる。
「後でダンスがあるの。ミヒロ、一番に私の元へ来なさいね」
「は、はい??」
レイノル様の言葉に、周囲がちょっとざわりとするけれど、レイノル様は気にする事なくベルキスさんを見て、ニンマリ笑うと「楽しんでね」と言って、どこかへ行ってしまった‥。
え、やっぱりダンスするの?
しかも一番に??
「べ、ベルキスさん!どうしよう!!足が今からガクガクする!!!」
「‥落ち着け。散々練習したんだ。大丈夫だ」
「本当ですか?!」
「‥多分」
「えええええ」
ベルキスさんの腕を思わず引っ張ると、小さく震えている‥。
「‥ベルキスさん?!」
こ、こんな時までからかうかぁ?!
私がジロッと睨むと、口元を手で覆っているけど、絶対笑ってるでしょう!
「悪かった。だが、ちょっとは肩の力も抜けたんじゃないか?」
「抜けたかもしれませんけど、腹は立ってます」
「とりあえず美味しいお菓子もあるし、食べておくか?」
「手っ取り早く誤魔化さないで下さい」
ジトーッと相変わらず見る私に、美味しそうなクリームの乗ったプチタルトを手渡すベルキスさん。わかってるじゃん、そういうの大好きだけどさ。パクッと一口で食べたら、美味しくて‥。
「‥美味しい」
「こっちもあるぞ、食べるか」
「はい!ベルキスさんはどれ食べます?」
「俺は甘いのは‥」
そんな会話をしていると、女性陣がこちらをチラチラと見ている?
あ、そうかベルキスさんかぁ〜。
なんだっけ、黒き剣だっけ?そんな二つ名があるような竜騎士さんだもんね〜。見惚れるよね。
そう思っていると、えらい美人な女性の一人がベルキスさんの方へやって来る。
「ベルキス様。こんにちは‥、その、隣の方は?」
「ああ、先日結婚しまして、私のパートナーのミヒロです」
ベルキスさんが笑顔でそう答えると、女性陣が「え、まさか?」「そんな!男性よ?」「でも、それならまだチャンスは‥」とか言ってるけど‥。おいおいおいおい、この国の人間は、私を「男」としか認識してくれないのか?
まっさか女性には見破られちゃったりするんじゃない?
って思っていた私の乙女心は粉々である。誰か強力なボンド持ってきて‥。だけど粉々な私に構う事なく、女性はベルキスさんに意味ありげな目つきで見上げる。
「‥そうですの。でも、チャンスはまだまだありますよね?」
え‥、
それ、仮にも結婚している私の前で言っちゃう?
今は「男」の私だけど、思わずズキリと胸が痛む。
まぁ、そうだよね。私は確かに今は「男」だし、あんな風に女性らしい体つきもしてないし‥。ジクジクと乙女心と別の場所が痛む。すると、ベルキスさんが私の肩に手を置いて、
「‥申し訳ないが、私にはミヒロだけなので。機会は二度とありません」
ベルキスさんが私の頭上できっぱりと言い放ち、驚いて顔を上げる。
と、パチっと目が合って、
「ミヒロは?」
「お、同じく!です!!」
咄嗟にそう言うと、ベルキスさんがニヤッと笑いかけるので、別の痛みを感じていた場所が今度はものすごく熱くなって、顔まで真っ赤になってしまった‥。イケメン罪深い生き物だ。




