突撃された男装女子。
家に帰って、パーティーで着ていく為の隊服の服のサイズをザックリ測ってくれたベルキスさん。メモをして、サッサと夜の見回りと会議の為にまた騎士団へ戻っていった‥。
忙しいのに、悪いなぁ。
しかし、この広い騎士団‥。少しでも早く場所を覚えないとな。
「‥はぁああ、つっかれたぁ‥」
お風呂から出て、髪をタオルで拭きつつベッドに座り込む。
今日だけでもグッタリ疲れた。横にでもなったら、もう今すぐにでも寝てしまいそうだ‥。
「あ、その前に‥」
なんとか体を動かして、一階からグラスとお皿を持ってきて、小さな机の上に、さっき貰った宝石のような砂糖菓子をお皿に乗せてからグラスを被せる。
「あ、思った通り綺麗だ〜〜」
部屋の淡い光に照らされて、砂糖菓子はキラキラと光って、鉱物を飾っている気分になる。今朝見た星竜みたいだなぁと思って、ホクホクした顔でお菓子を見て満足してから私はベッドに潜り込む。
ベルキスさん、元気付けようとして、このお菓子を持って来てくれたのかな。
そうだとしたら嬉しいなぁ。キラキラ光るお菓子を見て、そう考えたら顔がニマニマしてしまう。
明日も星竜に会えるかなぁ‥。そう思って、静かに瞳を閉じた。
‥‥そうして、どれくらい時間が経ったのだろう。
カタ‥と、小さな音がして、ふと目が覚めた。
今は何時くらいだろ?
外を見るとまだ薄暗くて、起きるにはまだ早いような気もする。
と、カリカリ‥と、何かを囓るような音がする。
なんだろ?音のする方へ静かに顔だけ動かして、目を凝らして見てみると‥、小さな机の上の砂糖菓子をグラスがどかされて、何かがそれを食べている?
え、ネズミか!?
慌てて体を起こすと、机の上には昨日の洞窟で見た星竜がカリカリと音を立てて、私の砂糖菓子を頬張っている。
「えええええええ〜〜〜〜〜〜!!!!???」
あまりの事に大きな声で叫んでしまうと、ビクッと星竜は体を揺らすが、一拍置いてまた砂糖菓子を食べ始めた。いや、君、落ち着いてるな!?
「ちょ、ちょっとどうしてここへ‥」
私が慌ててベッドから降りて、星竜の方へ行こうとすると同時に、部屋のドアがバンと開かれて、今度は私の体が思い切り跳ねた。
「ミヒロ!どうした!大丈夫か?!」
「あ、べ、ベルキスさん?!!」
ベルキスさんはシャツとパンツという軽装なのに剣を持って慌てて部屋へやってきた。
「あ、あの、星竜が私のお菓子を食べちゃって‥」
「星竜?!」
机の上を指差すと、私の砂糖菓子をカリカリと食べているのを見て目を丸くした。
「‥こいつら興味を持つと、すぐに洞窟から出てくるからな‥」
「あ、そうなんですね‥」
ハーッとベルキスさんは顔に手を当てて、なんなら眉間のシワを揉んでいる‥。お疲れなのにすみません。
「星竜って洞窟にいた方がいいんですよね?すぐに返して来ますか?」
「その方がいいな。俺が連れて行く‥」
ベルキスさんがそう言った途端、星竜は飛び上がると私のシャツの中にものすごい勢いで入ってきた。
「ひゃあぁああ!??ちょ、ちょっと動かないで!!くすぐった〜〜!!」
「み、ミヒロ!!?」
「だ、大丈夫で‥、く、あはは!!くすぐったいってば〜〜!!!」
脇の所でもぞもぞ動くので、笑いが止まらない。
急いで手をそこに突っ込んで、体を掴んでシャツから出すと、星竜はなんだか不満顔である。
「‥もしかして、一緒に戻りたい?」
私がそう聞くと、星竜は「キュ!」と鳴いた。
‥なるほど、君は結構わかりやすい子なんだね。クスクスと笑って、「じゃあ一緒に行こっか」と話すと、また「キュ」と鳴くので、可愛くて堪らない‥。
ベルキスさんと一緒に戻してくれば大丈夫かな?
そう思ってベルキスさんを見上げると、ちょっとぽかんとした顔で私を見ている。
「‥ベルキスさん?」
「あ、ああ‥。ちょっと驚いただけだ」
「とりあえず一緒に竜の巣に行くんで着替えてきますけど、待ってて貰ってもいいですか?」
そういうと、ベルキスさんはちょっと照れ臭そうに頷く。
「その間、星竜を預かっておく」
「え、あ、はい」
星竜を渡そうとすると、「キュ!」と鳴いて私をジッと見る。
‥えーと、離れたくないのか?
そう思ったけど、ベルキスさんは無言で星竜をガシッと掴むと、そのまま外へ出ていった‥。ありがとうございます?
あまり待たせるのも悪いので、急いで着替えて部屋を出ると、ベルキスさんは星竜に懇々と「人の部屋へ勝手に入るんじゃない」と説教していた。それ、通じるの‥?
星竜は大人になっても18センチくらいにしかなりません。
寿命は30年から50年と竜にしては短いけど、綺麗に発光するのでコレクターには大人気です。(今はダメだけど)




