男装女子、竜騎士と歩く。24
竜の女王の子供、ヒメと名付けた薄桃色の竜とキノをジャケットのポケットに入って貰うと、ディーに乗った私とベルキスさん、そしてイオが降りてきた穴から外へ飛び出す。
冷たい風に思わず首をすくめると、ベルキスさんが手からポンと音を立ててマントを出すと、私に渡してくれた。そうでした収納魔法あったね!
「すまない。ここから出る前に渡すべきだったな」
「‥もしかしてベルキスさん、動揺してます?」
「‥かなりしている。なにせ「竜の女王」だからな」
ちょっと気まずそうに笑うベルキスさんに、私はホッとする。
だって動揺しているのは私だけだと思ってたから‥。ベルキスさんは少し照れ臭そうに私を見て「幻滅したか?」っていうので、首を横に振りつつマントを羽織るとふんわりとベルキスさんの香りがしてホッとする‥。
「‥かえって安心しました」
「っそ、うか‥」
ベルキスさんがなぜか返事が詰まって、どうしたのかな?って見上げようとすると、わしゃわしゃと頭を撫でられた。
「ベルキスさん?」
何か言いたげな顔をするベルキスさんを見上げた途端、空の上が何かキラキラ光って見えた。
「ん?」
「イオーーーーーーーー!!!!!」
ものすごい勢いで白い竜に乗ったソティアさんが王都の竜騎士さん達を引き連れて、こちらへ飛んでくる姿が見えた。
「ソティアさん!?」
「イオは無事か!?」
「‥この通り無事でございます」
まずイオの安否を確認するが人間の確認もして欲しいところである。けど竜騎士としては正しい姿なのかもしれない‥のか?
ソティアさんと一緒にいた王都の騎士さん達は興奮気味に一斉に、
「イオを探してこちらへ飛んできたら!!」
「りゅ、竜の女王が!!!さっき、飛んでて!!!」
「皆で驚いて追いかけようとしたんですが‥」
「イオの救出が先だろうと‥!」
「でも見たんです!!薄桃色の大きな竜を!!!」
あ、はい。
まさにその竜の女王に会いまして‥?
コクコクと頷いていると、私のポケットからキノとヒメが出てきて、「ピィ!」と鳴くと‥、ソティアさんと、王都の竜騎士さん達が目を見開いて一斉に固まった。
「「「「えええええええええ!!!!!???」」」」
「あ、えーと竜の女王からこの子を任されまして‥」
「ピィ!」
よろしくねーとばかりにヒメが鳴くと、皆一斉に大声で叫んだ。
うん、わかる。気持ちはわかる。驚きすぎると叫ぶよね‥。ソティアさんは目をこれでもかと広げてヒメをまじまじと見つめる。
「りゅ、竜の女王と同じ色だ!!」
「あ、そうですね。この子だけ薄桃色でした。そういえばこの色の子って他にいないんですね」
「当たり前だ!!竜の女王は一生に一度だけしか次の女王になる子を産まん!つまりこの子は、次世代の女王なんだぞ!!薄桃色の竜が二匹も三匹もいてたまるか!!」
「えええええええ!!!そうなんですか?!じゃあ責任重大じゃないですか!」
私の言葉にソティアさんが「アホかぁあああ!!!」って叫んだけど、そんなの知らないもん!と、イオがソティアさんに顔を寄せて「キュウ」と鳴く。
「な、なんだイオ?どこか怪我でもしたのか?」
「‥‥違う竜に乗っているからヤキモチ妬いてるんじゃないですか?」
「なっ、や、ヤキモチ?そうなのか?」
「‥キュウ」
イオがちょっと拗ねたように鳴くと、ソティアさんは驚いて‥顔が真っ赤になった。
「‥‥こんなに、可愛いとか聞いてないぞ‥」
「あ、ソティアさんが照れてる」
「ものすごく照れてるな。ようやく可愛さを知ったんだろ」
「ソティアさんおそーい」
私とベルキスさんのツッコミにソティアさんが更に顔が赤くなると、ギロッとこちらを睨む。
「う、ううううるさい!!一旦地上に降りるから!そうしたらイオに乗り換える!!」
「ソティアさん、ここ山の上でーす」
「ええい!!さっさとじゃあ騎士団に戻るぞ!!」
皆思わず頬が緩んでしまって、「はーい」なんて私が間延びした返事をしたらまた怒鳴られたけど、イオはものすごく嬉しそうに目を細めるし、キノとヒメはまた私のポケットに潜り込んで寝てしまうし、後ろを振り返ったらベルキスさんは微笑んでくれた。
とはいえね?
かなり責任重大な次期竜の女王を預かって、私はちょっと目眩がしそうである。
イオはかなり抜けてるソティアさんが好きです。
ソティアさんは自分がしっかりしてるって思ってますけどね。




