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ミラクル★フォーチュン  作者: よっしー
とも子さんと山川
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その部屋の前の住人はたぶん大島という人で、僕が引っ越してからもたまにその人当ての郵便物が届くので名前を知っていたのだが、北側の梯子からロフトへ上がった住人は僕が最初なのか、それとも前の住人の大島という人なのか、と考えてミチルに聞いてみると、どっちでもない、と教えてくれた。ということはつまり、梯子は何度も南側と北側を行き来してすでに誰かが北側から上がった可能性があり、そう考えるとそうとしか思えなくなってきたので、僕は最初の人じゃないのをちょっと残念に思いつつ寝間着に着替えてロフトへ上がった。


ロフトは秘密基地みたいだから僕はもちろん気に入っているのだが、初めて上がったときはとにかく狭いと感じてたまらなかった。さっきも言ったように天井が斜めになっているので、梯子を上りきったところではちょうど肩の高さに換気用の窓が来て、一応中腰になれるくらいのスペースは確保されてるのだけれど、玄関側の壁にちょっとでも近づくともう頭を天井にぶつけてしまい、さらに途中に三番目の梁が飛び出ているから余計に圧迫感がある。玄関側の壁のところまでいったらたぶん五十センチくらいしか高さがないので、僕は頭を梯子側に向けて寝るから不用意に足を上げると天井にぶつけてしまう危険性があるのだ。そんなことを心配しなきゃいけない人はたぶん珍しいと思う。


でも逆にそれがプラスになるときもあって、別に僕がその恩恵を受けているわけじゃない、というかその恩恵による被害を受けているのだけれど、一階の部屋もどうやら同じようにロフト付きで、夜寝てるときに上の階のやつがうるさかったら、足で天井を一発ドンと蹴ってやればそれで万事解決できてしまうのだ。


僕の部屋にはそのサイズに似合わない五十二インチの大型テレビがあって(たぶん「ミラクル★フォーチュン」の待合室にあるやつより大きい)、よく深夜に映画を見るからその音がうるさくて足で天井を蹴られ、僕は何度か問題解決を手伝った身だ。そのうちの一発はたぶん怒りがピークに達したのか、蹴られた瞬間にアパート全体がビリリと揺れていた。実に恩恵のある天井の作りだと思う。


朝起きるときに何度三番目の梁に頭をぶつけたかもう覚えていないが、慣れてしまえばほとんどぶつけなくなる。それに布団を敷いて枕元に沢山の本とノートパソコンを置き、柵の手前に大きめのクッションを置いて滑らかなリクライニングを作れば快適そのもので、あとは忘れずにエアコンと照明のリモコンを持ってロフトへ上がれば何も不便はなく、僕だけの秘密基地が完成する。


熱い寒いは南側の壁に設置されたエアコンで調整できるし、寝たければリモコンの消灯ボタン一つで真っ暗だ。ロフトにテレビと冷蔵庫があればもっと快適だろうが、それはまだ実現されていない。でもその日はだいぶ眠かったので、そんな快適な場所でも特に何もせずすぐに寝てしまった。

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