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04

異世界にきて3か月がたった。

この世界の常識を中心に教えられたが、日本育ちの俺には悲しく受け入れがたいものだった。

他人に隙をみせてはいけないらしい。

自分の身を守るものは自分しかいないというのが基本認識だそうだ。

俺は決められたルールに守られていたらしい。こちらの世界ではその認識でいるとあっという間に死んでしまうかもしれないと教わった。


それから、魔法については生活魔法は覚えないと困るからと、詰まれた本を10冊覚えてから教えてもらった。

まずはライトだ。この世界のライトって光属性じゃなくて、無属性らしい。夜の闇に飲まれても大丈夫なように神様が誰にでも使えるよう無属性にしたとか。属性に適性がなくても使えるらしい。

それから、ライフという魔法。軽い擦り傷くらいなら直してくれるというものだが、これは光の適正がいるらしく、俺には使えなかった。

あと二つはウォッシングというものを洗う魔法と軽い火種を作れるフィムという魔法だ。

俺は光の適正以外はあるらしい。上位の魔術師にも数名いるかどうからしく、君は伸びしろがあるなとあくどい顔してカナが笑っていた。怖い。

今はまだ生活魔法の三つだけで地味だが、魔法を使えるってのはいいもんだ。毎日楽しい。


フィムという魔法の可能性はまだ見いだせてないんだが、ウォッシングは可能性があると思う、というかあってほしい。

なぜか出てくる泡で皿が包まれたと思ったら油汚れもしっかり落ちているという魔法。

床とか窓とかはできるんだけど、なぜか布とかの洗濯はできなかった。服は洗濯板でじゃぶじゃぶするしかなかった。原始的!!せっけんみたいなアイテムもあるらしいけど、汚れは落ちるけど色も落ちるし泡立たないし手が荒れるし、服も傷みやすくなるらしく

俺はカナが作った謎の液体(泡立たないし無臭で透明)とともに水あらいを強いられてる。

俺的には洗濯機(乾燥機付き)の魔法をいち早く作りたい。楽したい。




「こんにちはー!」


と、ドアのむこうから声がする。これはたまにくる商人で、カナ以外に知っているこの世界の住人だ。


「お、ザットさんお久しぶりです!とりあえずどうぞ~。カナ呼んできますね」


そう、この商人ことザットさんはこの森に囲まれた場所に唯一物資を運んでくれる人だ!いつもカナと取引をしていて、見た目はとてもチャラい。いや偏見なのはわかってるんだが、実際にウィンクする人を見るとどうにもチャラくみえる。とりあえず居間に通して、最近はベランダで日光浴ばかりしているカナを呼びに行く。


「カナ~、ザットさん来てくれましたよー!」


2階のベランダでハンモックにゆられているカナは眠っているようだった。


「カナ?カナー…、おっししょー!!」


「…む、ネムか、なんだ、もうご飯か?」


「そんなぼけ老人みt、いたたたた」


寝ぼけ眼で飯の心配をするカナをからかうと耳をつままれる。その後、女性ならしないであろう大あくびをしながら伸びをする。


「なんか、最近眠気が強いみたいですね?大丈夫なんすか??」


「…あぁ、ザットが来ているんだな。今日は、ネムも参加しなさい」


カナは神妙な顔で頷き下へ降りていく。なんとなく、嫌な感じが頭をよぎったが、気にせずカナの少し細くなった背中をおった。

下の階に付くと少し細くなったカナを見つめ、苦しそうな顔をするザットさん。その場になんとも重苦しい空気が漂う。


「…ザット、お前には伝えてあったと思うが、そろそろだ。ネムは常識といっても僕の知っているものしか知らない。生活していくうえで分からないことも出てくると思う。できれば支えてやってほしい」


「カナ様…。いえ、約束ですものね。わかりました。できる限り支えたいと思います。」


「いやいや、二人してそんな神妙な顔して、お別れの挨拶みたいな。…半年たってないし、おししょーまだまだ元気ですよね!?ちょっと睡眠時間が長いだけで、そんな、死ぬ、みたいな…」


思わず涙目になっていた俺はしぼんだ声がでる。さっと顔色を悪くした俺を心配してカナは目じりを下げ悲しそうな顔をする。そんな顔してほしくないのに、どうしても表情を隠せない。たった三か月ちょっとだが、毎日一緒だったのだ。情や愛着もわく。それなのにもうお別れだなんて、弟子としてもっともっと聞きたいこともあったのに。


「ネム、すまない。…僕の身体はもたないだろう。精霊体になればおそらく水、光、闇以外のものになるはずだから、身体がなくなっても、話せるはずだ。君は光以外の適性があるのだから大丈夫だ」


カナがそっと俺の頭に手を伸ばす。幼子にやるようそっと撫でる。初めて会った時も感情が高ぶった時にカナが背を撫でてくれたっけ?俺氏情けないな…?


「そ、そっか…。そうだよな…。死ぬわけじゃ、ないんですよね?」


「あぁ、ただ、精霊体になるとまず精霊王たちのもとに連れていかれる。そして階級を決められる。僕はハーフだから、そもそも仲間として受け入れられるかわからないが…。階級が決まれば、すぐに帰ってこれるだろう。その時は我が子にはまだ早いだろうからネムが僕と契約してほしい」


「わ、かりました…。ってそういえば、契約方法習ってないんすけど」


「精霊魔法に関してはまだまだネムには早い。だから教えてなかったが、ふむ…。契約の方法だけ教えよう。魔法をよく理解し精霊魔法も自力で学べたのなら、いくらでも契約するといい。理解が及ばないうちはこの方法は僕との契約時のみ使うこと。それから、街の、市民の常識はおいおい自分で学んでくれ、僕は知らない事は教えられないしな。貴族や高い地位にいる存在への対策はよくできているから、忘れる事のないようにな」


「僕ももっちろんサポートするからね!なんたってネム様はカナ様が選んだ後継者ですからね!」


「よろしくお願いします!」


そう言って二人を見ると、あのチャラ商人の目にうっすらと涙が溜まっていた。ザットさんは土と風の魔法が使えるらしいが精霊の階級によってはカナの事が見えなくなると、前に言っていた。俺はササっと紅茶とお菓子を準備して、畑の世話をするために外に出る。


ザットさんとカナの関係は詳しくないが、なんでも主従関係だったとか。解消された今でも、主を変えることができず、カナのあとをついてきたらしい。

カナを主と思っていたからか、最初は俺のことを警戒心たっぷりの目で見てたっけ。カナが後継者でありカナの子を守る約束をしていると伝えるとチャラ商人になってしまった。三か月の間に数回しか会ってないが、商品を持ってきた日から三日は泊まっていくからそれなりにこの商人とも信頼関係を築けたと思う。

これからは、大いに頼りにさせてもらおう。なにせ、貴族対策として隙を見せないためにマナーは詰め込まれたが、街の食事事情や生活の様子はさっぱりわからなんだ。

ファンタジーお約束の国に属さない組織がチラホラあるから、子育て次第だが行ってみてもいいな!

子育てに関してもハーフに対する研究結果とかいう自分の事研究で解剖したの?っていうくらい身体面や生態を事細かに記された資料を読まされたから、人間にの精霊にも詳しくなったし、奥さんが特殊らしくて想像つかないけどおよそ精霊と人間がわかってれば大丈夫だろうとカナが言ってたから大丈夫なんだろう。


俺は、呑気に雲一つない青空を見上げながら、これからの事を楽しみにしていた。



現実は甘くないって事を社畜して学んだのにどうしてこうも楽観的に考えてたんだろうな?

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