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期間限定の最愛  作者: くぅ
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彼と彼女、彼女と彼の恋の話。

期間限定の最愛。彼女との恋愛はシンプルで複雑。


期間限定の最愛。彼とは形を持たない「好き」だけで繋がっている。


誰にも知られず、ひっそりと、形も持たない。ただそこにあるのはお互いの好きというシンプルな気持ち。

本当はそれぞれの想いを胸に秘めて…




<再会。そして再開>


___R.E

彼からの連絡は突然だった。

「俺、離婚することになった!」

ある日の夜、突然送られてきたメッセージに驚いて、私は思わず電話をかけた。

でも、彼は電話に出ない。

そして、もう一通メッセージが届く。


「男は泣き言なんて一々か語らないよ」


もっと心配になって、そこからメッセージのやり取りが続く。

離婚の話から、今のお互いの生活や仕事について他愛もない話へ。

そして、よくよく話を進めると別居中ではあるが、まだこれから離婚調停が始まる事も話してくれた。

なぜ私にこんなに大切な話をしてくれたんだろう…

そんな疑問を抱えながらもメッセージは続く。


その日は彼からまた連絡してもいい?と聞かれ、もちろん!と私が答え、最後に私は彼が好きだと言っていた漫画の一コマの画像を送った。

「あなたは優しい人だから、大丈夫よ。見守ってる。」

そんな意味を込めて彼へ送った。



___K.N

離婚調停をすることが決まり、とりあえず俺は家を出て実家で生活していた。

離婚の原因は価値観の違い。性格の不一致。

そして、俺への否定。毎日が苦しかった。俺が俺らしくいる事が家族にとって良くないのかと悩んだ日もあった。

確かに俺は自分勝手な部分がある。その事で嫁を苦しめたのも事実だ。

何が正解かわからないま、お互いに不満を溜め込んだ結果が、今なんだろう。

そんな事を漠然と考えながら、実家へ戻って1か月が経つ頃、ふと俺の頭にある人がよぎった。

ツレが言っていた「見かけたから声かけようと思ったけど、泣いてたからやめたんだよね。」


気が付くと俺は携帯を手に持ち、彼女にメッセージを送っていた。

「俺、離婚することになった!」

我ながらなんて言う突拍子もないメッセージだ…

返信は来ないと思っていた。

理由は簡単だ。

俺は過去に彼女を傷付けたからだ。

そんな事を思い返しているとメッセージが届いた。

「え?なんで?っていうか大丈夫?って大丈夫なわけないし電話かける!」


そして、着信音が鳴る。


電話に出ようと思った。でも出られなかった。

今、彼女の声を聞いたら、俺はまた彼女を傷つけてしまうと思ったから。

何より、泣いてしまいそうな俺がいた。

「男は泣き言なんて一々語らない」

そう返したメッセージに俺自身が一番呆れた。

これじゃ心配してくれって言っているようなものじゃないか。

そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、彼女からの返信はこうだった。


「語る語らないは個人の自由だけど、心配するのは私の勝手だから!」


目頭が熱くなるのを感じた。

あぁ、この人は本当に変わんねぇな…

そう呟いた瞬間、俺は泣いていた。


そこからメッセージのやり取りをして、俺はまた連絡していいかと尋ねた。

答えがNOなら二度と連絡をしないと決めて…いるうちに、彼女からの返信が届く。


「もちろん!楽しみに待ってるね!」


それから、おやすみとメッセージのやり取りは終わった。

…と思っていた。

その夜は久しぶりによく眠れて、朝になってもまだ眠かった。

時間を見るために携帯を開くと、一通のメッセージ。

彼女からの、1枚の画像。

俺が好きな漫画の好きな一コマ。

覚えててくれたのかと嬉しくなりつつ、そこに頑張れとは言わない、なんとも彼女らしいチョイスに思わず笑ってしまった。

笑いながら彼女の優しさに涙が頬を伝う。

男が朝からメソメソするか!

自分へそう言い聞かせ、顔を洗っていつものように仕事へ行った。


メッセージに付けられた画像を携帯に密かに保存して、3日くらい何度も何度もみかえしたのは、未だに彼女には秘密にしてある。

だって、恥ずかしいだろ?(笑)

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