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第七話

エステリア王国シルヴァ。

古くから王都として栄え、メルキア大陸の中では小国ではあるが、

南方独特の温暖な気候と、山々に眠る豊富な鉱石資源を元に

交易による活性化で治安も悪くはない。

そうリアーナに説明された優は、実際の町並みを確認し

その活気に心躍らせていた。

「いやー、こんなに栄えてるとはね。これなら院の皆に少し位は

土産でも買って行けるかな?」

「お気に召して頂けましたでしょうか?」

「いや、こりゃすごいわ、本気で。城なんかもテレビでしか見た

事ないし、こんだけ活気があれば国も潤ってんだろ?」

「ええ、この国の行政を預かる巫女としては嬉しい限りです。

活気が無ければ人は離れていきます。

そうなれば仕事も無くなり治安も悪化、そして人が寄り付かなくなり

財政も悪くなる一方ですからね」

「…………」

「どうかされましたか?優様」

「いや、ちゃんと考えてるんだなー、と思って。俺とそんなに年が

変わらなそうなのに国を動かしてんだろ?すごいよな、マジで」

異世界だわ鬼や虎だわ、あげくに十代半ばの少女が、国の大事な役職に

ついている、と聞かされて疑っていた部分もあるが、優は素直に感嘆の

言葉を漏らす。

「そんな、私はまだまだです。皆に助けられてようやく務めを果たせているのですから。

それにこの国の方達は自分たちの力で暮らせる術を知っています。

城の人間は少し助けているだけですし、むしろ民に生かされている位ですから」

「んでも城の皆がいるから、町の人達は安心して商売や生活が出来るんだろ?

公的な機関はそれだけで抑止力にもなるしな」

「そういって頂けると幸いです……。優様はお優しいのですね」

優としては普通に感じた事を口に出したのだが、リアーナにとっては

慰めであり、励ましと感じた様だ。

何やら潤んだ瞳で上目遣いをされると、どうして良いのやら分からなくなる

優だった。

「それでは城に参りましょう。あのお方も待っているでしょうから。

それに、これからの事も優様には知っておいて頂かないといけませんし」

一瞬、リアーナの表情に陰りを感じた優だったが、窓から見える市場の風景と

自分が帰る方法を知っているだろう「あのお方」との対面に心が浮ついている

事で、全く気にはしなかった。

「着きましたよ、優様」


衛兵の「開門!」という合図と共に、城門が開かれる。

この時、優はまだ知らなかった。自身をとりまく運命と、その物語に。

そして語られる真実を。

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