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第二話

後ろには狼(?)、前には虎。

完全に逃げ場を失い、食べられるだけの我が身を呪うしかなかった。


(無理だ……ここで死ぬんだな、俺……)


そんな事を考え、覚悟を決めて前を見ると虎は咆哮を上げながら、

目の前に迫っていた。

(ごめんっ!みんなっ……!)

思わず目を瞑る。

しかし来ると思っていた衝撃はいつまでも来ない。

代わりに聞こえてきたのは、おそらく後ろから追いかけて来た

獣たちの断末魔の叫びだった。

(……え?なんで?意味がわから……)

おそるおそる目を開け、後ろを振り返るとそこには3匹の獣の

死体と、その横で目を光らせる虎が一頭。

訳が分からずぽかんとしていると、不意に虎が口を開いた。


「災難でしたな、主殿」


それはそれは流暢な日本語が出てきた。

「…………あ……あは、あははは、うははははははは!

喋った!虎が喋った!!よーっし!分かったぞ!これは夢って事だな!

間違いない!虎が喋ったからな!!」

人間本当に追いつめられると、なぜか笑ってしまうものである。

この少年も例外ではなかった。

「む、なにか楽しい事でも?もしや、こいつらに追いかけられていたのも

修行の一環でありましたか?我は邪魔をしてしまいましたかな?」

虎の口からは更に流暢な言葉が紡がれる。

しかも(われ)と来た。

「くっそう、こんな良く出来た夢を見れるなんて……どんな特技だってんだよ……」

「主殿が何を言ってるのか、我には良く分からぬが……夢ではありませんぞ?」

「うるせえ!夢なの!こーれーはーゆーめー!!」

先ほどのループに続き、見事な現実逃避っぷりだった。

この少年がもう少し冷静であったなら。いや、逆に冷静になれる状況では

なかった。獣に追いかけられ、虎に助けられ、あまつさえ虎と会話をしている。

それを夢と思わずにいられる方がおかしい位なのだから。

そんな現実逃避をしている少年を不思議そうに眺めながら、虎はその後ろに目を向ける。

「おお、皆。主殿は無事だぞ。とは言っても何やらブツブツ言っているが……」

(皆?……って事は俺の後ろには……)

振り返った少年は更なる現実逃避をするはめになる。


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