橋下徹氏の言動について考えてみる(前編)
先ずは氏の twitter による発言と謝罪を紹介します。
【最初の発言】
「日大アメフト部の監督・コーチの記者会見。中身については色々言いたいところがあるけど、何よりもあの司会者が最悪だね。危機管理対応の記者会見なのに、あの司会は何なんだ?ほんと日本大学の危機管理能力は全くないな。日本大学危機管理部は何してる!!」 5:49 - 2018年5月23日
【それに対する訂正(謝罪)】
「日本大学危機管理学部の学生へ。日大アメフト部の問題で、日本大学危機管理学部をちゃかしたけど、学生を侮辱したように聞こえたなら申し訳ない!引き続きしっかりと勉強して!ただ危機管理学部教授陣がチームを組むなりして学校経営陣に提言することくらいはやって欲しいな。」 16:21 - 2018年5月24日
【引用終り】
前回述べた「如何に早く、誰と、良き真実を、共有するか?」
「34時間後(翌日と言える範囲内)」に「学生に向けた言葉ではない」との釈明を「同じ媒体で公表」しています。
速やかに良き真実(と言う形で)の共有を実施していると言えるでしょう。
果たしてこれが橋下氏の本心だったでしょうか?
私は本当は学生をも対象だったのではないだろうか? と思っています。
何故ならネットでは学生にも奮起を期待する発言が散見されるからです。
下種の後知恵ですが最初の発言の後段を
「日本大学危機管理(学)部は何してる!! 今こそ研究の真価が求められている時ではないのか!? 机上の空理空論を学生に教えているのか!!」
と言い換えてみれば私の本音その物なのです。ですが、橋下氏は法律家であり同時に政治家として成功している人です。当然危機管理に優れた能力を持っている人です。
面倒で不毛な論戦を避け、批判の対象を教職員に絞り込むことで最初の発言を否定することなく軌道修正しています。その後も謝罪した事実が多くのマズメディアで紹介され結局は自らの傷を広げることなく目的を果たしています。
橋下氏自身は謝罪することで自身の「学生への批判」と言う謗りを回避しつつマスメディアに取り上げられることでより多くのひとに自身の主張を知らしめることに成功しています。そして一連の発言を知った少なからぬ人たちは学生も全くの無関係ではないと思い及ぶのです。
橋下氏程に秀でた能力の持ち主であれば謝罪までもが最初からの筋書きにあったとしても私は驚きません。事実を味方につける術に長けた人です。
これは単なる憶測ではありません。私見ですが橋下氏が政治の世界に進出する端緒は「光市母子殺害事件弁護団懲戒請求事件※」にあったと思っています。過激では有る物の多くの人々に強い共感をもたらした発言は早い時期で逆に弁護士会へ橋下氏に対する懲戒請求が成されたことで「漢を上げ」一躍時の人となりました。その翌年橋下大阪府知事が誕生するのです。
皮を切らせて骨を断つ術を持っている人物だと私は考えています。マスメディアを活用する術と併せて氏は事実を味方につける達人だと思います。
しかし、それは人を選ぶ至難の業であり術無き者には我が身に跳ね返る刃となることでしょう。凡人である私は「肉を切らせて骨を断つ」できれば「皮を切らせて肉を切る」に止めておければと思うのです。
※ 光市母子殺害事件弁護団懲戒請求事件 については 次の URL に概要が記載されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%B8%82%E6%AF%8D%E5%AD%90%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E6%87%B2%E6%88%92%E8%AB%8B%E6%B1%82%E4%BA%8B%E4%BB%B6