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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第12章 湖の巨大生物<
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巨大生物出現

 わたしはプチドラを空に放った。プチドラはフワリと舞い上がり、体を象のように大きく膨らませ、大きなコウモリの翼を左右に広げた。左目が爛々と輝き、子犬サイズから隻眼の黒龍にメタモルフォーゼ完了。

 わたしは隻眼の黒龍を見上げ、

「それじゃ、ちゃっちゃとやっつけちゃって」

「そんなに簡単にいくかどうか分からないけど、まあ、やってみるよ。マスターたちは、どこか適当に、安全なところに非難しててね」

 隻眼の黒龍は苦笑しながら、コウモリの翼を広げ、「水上3階建て」くらいの巨大なカエルに向かっていく。ナスル殿下はこれを見て、「後方に下がれ」との旨の命令。戦闘の邪魔にならないように、ということだろう。

 アンジェラは、少し心配そうな表情になって、

「お姉様、大丈夫でしょうか。大丈夫とは思いますが、でも、もしかして、もしものことが……」

「大丈夫でしょ。隻眼の黒龍なら、きっと、なんとかするわ」

 わたしはそう言ってみたものの、実は、絶対的な自信があるわけではない。体の大きさは、圧倒的に巨大なカエルの方が大きい。比喩的に表現するなら、マンガ的な最強巨大要塞に重爆撃機が立ち向かっていくようなもので、現代風に言うハイテク兵器を多数搭載していても、「100%勝てる」とは断言できないだろう。

 アンジェラは、遠目に巨大なカエルを眺めながら、「う~ん」と首をひねり、

「このカエルが、お姉様の捜していたゴールデンフロッグなのでしょうか?」

「かもね。でも、ちょっと違うような気も……」

 巨大なカエルは確かにカエル(=「フロッグ」)には違いない。でも、体色は、どう見ても、おうど色で、黄金(=「ゴールデン」)とは言い難い。名称としての「ゴールデン」なら、実際、よく見かけるものであるが……


 そうこうしているうちに、隻眼の黒龍と巨大なカエルの戦闘が始まった。隻眼の黒龍は、適当に距離を取り、火炎放射や魔法攻撃で少しずつ巨大なカエルの体力を削ろうという作戦のようだ。これに対し、巨大なカエルは、少しでも距離を詰め、格闘戦に持ち込もうとしている様子。

 巨大なカエルの後方では、トードウォリアーたちが多数、


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………


 のどを大きく膨らませ、応援団のように、やかましく声援を送っている。


 隻眼の黒龍と巨大なカエルの戦いは、なかなか決着がつかなかった。遠距離からの隻眼の黒龍の攻撃は的確にヒットしているものの、信じがたいことに、巨大なカエルの体力には限界がないのか、いくらダメージを負っても、(文字どおり)ケロリとした顔で向かっていく。反対に、攻撃している隻眼の黒龍の方が疲れ気味で、だんだんとスピードが落ちてきたようだ。なんだか、ちょっぴり、まずいかも……

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