表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第10章 進むか退くか
73/115

今回も待ちぼうけ

 ナスル殿下はショートソードを構え、周囲を見回した。リザードマンの精鋭も、戦闘態勢を整える。しかし、その半数は倒れたままだ。アンジェラは先程から、わたしにしがみついている。なお、プチドラは耳をピンと立て、慎重に周囲の様子をうかがっているが、表情からは、あまり危機感は感じられない。ドラゴンにとっては、トードウォリアーが何十匹襲ってこようと、ものの数ではないのだろう。それを見て、わたしも少し安心。


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………


 密林の奥からは、相変わらずトードウォリアーの声が響いている。しかし、姿は見えない。プチドラは、「うーん」と小さな首をかしげて小さい腕を組み、

「おかしいなぁ……」

「どうしたの? 『おかしい』って、何が?」

「カエルさんたちが近くにいる気配はあるんだ。攻撃するなら、今がチャンスなのに……」

 トードウォリアーは、プチドラの正体が隻眼の黒龍であることを知らないはず。ならば、リザードマンの半数がダウンして病人のようになっている今、総攻撃を掛けるのが、正しい判断だろう。しかし、プチドラによれば、その気配は全然ないらしい。


 ナスル殿下は自らを奮い立たせるように大きな声を出し、てきぱきと指示を出していた。舟を岸に着け、病人を真ん中に集め(わたしとアンジェラとザリーフも含む。わたしたち3人は戦闘能力ゼロと判断されたのだろう)、彼らを守るように周囲に精鋭を配置した。


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………


 気のせいかもしれないが、トードウォリアーの声が少しずつ大きくなってきたようだ。アンジェラは耳を押さえた。周囲にトードウォリアーの戦闘員が集まってきているのだろう。絶対に負けないと確信できるくらいの数が揃ったところで、一気に攻勢に出るつもりだろうか。

 わたしたちは、そのままの態勢で、長い時間(おそらくは一昼夜)、待った。


 ところが……

 結果的には、今回も、待ちぼうけを食わされただけだった。アンジェラは、わたしにもたれ掛かり、ぐっすりと眠っている。もちろん、わたしも寝不足でフラフラだ。ナスル殿下も不機嫌に何やらブツブツとつぶやいている。

 こうなると(こうなる前からもだけど)、倒れているリザードマンの病状が気がかりだ。毒が体中に回ると、最悪の場合は……

 とにかく、非常にまずい状況に変わりはない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ