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わたしたちは、大きな池を抜けると、それほど広くはない川の上に舟を滑らせ、密林をさらに奥へ奥へと進んでいった。
相変わらず、両岸に生える樹木の枝によって日光が遮られ、昼間なのに夕方のように薄暗く、時折、静寂に包まれた密林の中を小動物や鳥の鳴き声がこだましている。時間の感覚もかなりおかしくなってきたようで、困ったことに……、いや、実際上の不便や不都合はないのだが、今日がハッドゥの町を出て何日目なのか、サッパリ分からなくなっている。
このところは、誰もあまり喋らないようになっていた。あれほど好奇心一杯だったアンジェラさえ、最近はふさぎ気味。ザリーフの関西弁もさえない。そんな中で、ただ一つ、元気なのと言えば、
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カエルのようなトードウォリアーの声だけだった。ここ数日は、毎日のように聞こえてくる。ただ、声が聞こえたからといって、襲撃等々の事件が起こるわけではなく、単に、やかましいだけ。でも、やかましいだけとはいえ、精神的にダメージを与えることもできるもので、
「ええ加減にしてくれへんかなぁ…… こんなけ毎日聞かされたら、頭痛なってくるで」
ザリーフは、ずり落ちそうな大きな眼鏡を外し、ため息をついた。
「お姉様、いつ、目的地に到着するのでしょう」
アンジェラも不安げに言った。いつになるかは、わたしには分からないし(分かるわけがない)、のみならず、このメンバーの誰にも分からないだろう。
そして、わたしたちは、さらに旅を続けた。このところ、何日も、同じような景色が続いている。特筆すべきことはないが、あえて挙げるとすれば、
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なんというか…… とにかく、不愉快で鬱陶しい。頭の中が「@@@」で一杯になってしまいそうだ。こう思っているのは、わたしだけでないようで、ナスル殿下も、
「&★⊿※⊆!!!」
と、意味は分からないが、時折、不機嫌そうな声で怒鳴っている。トードウォリアーが目の前に現れれば、リザードマン30人の精鋭の力により、血祭りに上げることもできるのに。それだけに、歯がゆい思いをしているに違いない。こうもうざいと、ゴールデンフロッグはうっちゃらかして、途中で帰りたいような気分にならないでもない。




