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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第7章 南方の光景
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突然の敵?

 車はぬかるんだ通りを進んだ。道の両側には、多少の間隔を置いて、1階建ての木造建築が並んでいる。しかし、不思議なことに、街中に入っても、住人のリザードマンの姿は全く見えない。田舎町ということだけど、そうだとしても、これは不自然過ぎないだろうか。建物だけがあって、誰もいないなんて……

 しかし、ザリーフは、呑気に鼻歌を歌いながら、

「さあ~、なんでやろな。でも、まあ、ええやん」

 と、まったく意に介する様子はない。ここはこういうところだろうか。床で寝そべっているプチドラに目をやると、

「ザリーフが、ああ言ってるんだから……、やっぱり、ええんちゃう?」

 プチドラにも、関西弁が伝染してしまったらしい。


 車はさらに、誰もいない通りを進む。住民は、どうなったのだろう。疫病で全滅したのだろうか。そうであれば、死体が転がっているだろう。組織的な戦闘が行われ、その結果、住民全員が捕虜にされてどこかに連れ去られたなら、建物が壊されているだろう。町並みはそのままで、住民全員が忽然と姿を消すなんて、常識的には有り得ない。強力な魔法で、どこか別の世界に転移させられたなら、そういうことも……、ファンタジー的にはあり得る話だが……

 しばらくすると、アンジェラも不安げに周囲を見回し、

「ザリーフさん、この町には、なぜ、誰もいないのですか?」

「う~ん、なんでやろ。おっかしなぁ~」

 ザリーフも、少し心配になってきたのか、声のトーンが先刻とは違っていた。しかし、すぐに、その不安を振り払うようにスドゥキーに鞭を当て、

「でも、まあ、なんとかなるやろ」

 ザリーフの神経は、割りに楽観的にできているようだ。でも、わたしは反対に悲観的。「なんとかなる」のではなく、どうしても「なんとかならない」場合のことを考えてしまう。

 ちなみに、プチドラも、ここまでくるとさすがにおかしいと思ったのか、立ち上がり、油断なく周囲に目をやっていた。


 そして、突然……

「⊿◆‡¶@≡\○!!!」

 例によって意味不明だけど、甲高い声が響いた。それが合図だったのだろう、道の両側の建物の陰から、ショートソードやハンドアックスで武装したリザードマンが、次々と繰り出してきた。

 ザリーフは御者台で飛び上がり、

「★☆★☆★☆★☆★☆!!!」

 と、意味は分からないが、聞いた感じ(声のトーン等々)からすると、かなり狼狽しているようだ。

 武装したリザードマンの集団は、あっという間に車を取り囲んだ。この集団、一体、何者なのだろう?

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