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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第6章 不思議な(変な)仲間
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アダブの町

 アンジェラが「すごい」と驚いたのは、アダブの町の中心にそびえる尖塔。木造の建物が多い中で、この尖塔だけは石を組み上げて造られ、異彩を放っていた。

「あれは王宮の一部だよ。トカゲ王国のシンボルかな」

 と、これは隻眼の黒龍の解説。アダブの町の尖塔は、背の高さにかけては、帝都にある4本の尖塔には及ばないものの、その表面には、戦場での戦闘の様子を彫り込んでいるのだろう、荒々しく男性的なレリーフが施され、それなりの存在感・威圧感を誇っている。この尖塔は、いつの時代のことかは知らないが、帝国との戦争における勝利を記念して作られたのだろう。

「それじゃ、地上に下りようか」

 隻眼の黒龍は、円を描くようにして、巨体をゆっくりと降下させた。地上では、少なからぬリザードマンたちが集まり、空を見上げて何やらガヤガヤと騒いでいる。

「いきなり街中に下りちゃって、大丈夫?」

「全然問題ないはずだよ。かなり前の話になるけど、トカゲ王国軍の本営でも、そうだったでしょ」

 そうだったっけ? 言われてみれば、いつぞや、そんなこともあったような……

 隻眼の黒龍は、ゆっくりとアダブの町の広場に降り立った。周囲には、既に大勢のリザードマンが集まり、両手をつき、頭を地面にこすりつけるようにしている。

「お姉さま、これは、一体???」

 アンジェラは、初めて見る異様な光景に戸惑っているようだ。

「ドラゴンは、リザードマンが信仰している神様の第一の使いということになっているからね」

 隻眼の黒龍は、どことなく得意げに言った。


 しばらくすると、ひと際目立つ派手派手の衣装に身を包んだリザードマンの一団が、両手にいっぱいの供物を抱え、駆け足でやって来た。すると、広場で集まっていたリザードマンたちは、その一団のために道を開けた。

 隻眼の黒龍はニンマリとして、

「あれは、きっと、トカゲ王国の王様だよ。早速、側近を連れて挨拶に来たのかな」

 派手派手衣装の一団は、隻眼の黒龍の前まで来ると、

「〓☆▽*★♠・%+♨♨!!!」

 いきなり、先頭を歩いていたリザードマンが大声で叫んだ。意味は分からないが、それが合図だったらしく、その一団は、持っていた供物を隻眼の黒龍の前に並べ始めた。それは、具体的に言えば、光り輝く宝石や貴金属、穀物や野菜、南方特有のフルーツ、初めて見る魚や肉のブロック、怪しげな色の液体(!?)等々。

「ねっ、大丈夫だったでしょ」

 と、隻眼の黒龍。大きな口からは既に、よだれがこぼれ落ちている。もしかすると、怪しげな色の液体は、トカゲ王国特産のお酒かもしれない。いや、きっと、そうだろう。違いない、そうに決まってる。

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