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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第13章 とんでもないこと
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立ち昇るキノコ雲

 あの雲は、核爆発特有のキノコ雲。幾つもキノコ雲が上がるということは、MIRV化された戦略核ミサイルが炸裂したのだろう。魔法の球体が激しく揺れたのは、きっと、核爆発による衝撃波。ということは、もしかすると、この球体にも大量の放射能が……

 わたしはガイウスを捕まえ、

「この魔法の球体は、本当に大丈夫なの!? 特にNBC防御!!!」

「急にどうしたんだ? さっきも言ったように、この球体は、強力な魔法の攻撃にも十分耐えられるものだ。防御力に関しては、まったく問題ない。それで、え~っと、なんだっけ、エン・ビー・シ……???」

「いえ、なんでもないわ」

 ガイウスは、なんだか分けが分からないという顔をしている。核爆発とかMIRVとか戦略核ミサイル等々の話をしても、ファンタジー世界の住民には理解不可能だろう。ものすごく不安でならないけど、ガイウスは「まったく問題ない」と言ってるし、ファンタジー世界においては、少なくとも物理的な側面に限れば魔法は万能なのがセオリーだから、そういうことで納得することにしよう。


 キノコ雲は地上の数カ所からモクモクと上空に傘をもたげ、そのひとつは、魔法の球体の近くまで迫った。球体の中では、ダーク・エルフたちが、もの珍しそうにキノコ雲を眺め、何やら口々に説を述べ合っている。長命なエルフとはいえ、キノコ雲を見るのは初めてだろう(わたしも現実にそれを目の当たりにするのは初めて)。

 アンジェラは、わたしの背後に隠れるようにして、「う~ん」と首をひねりながら、キノコ雲に見入っている。プチドラも、わたしの腕の中で小さい腕を組み、「う~ん」と何やら考えこんでいる様子。でも、アンジェラもドラゴンもファンタジー世界の住人、いくら考えても分かるまい。

「変わった雲ですね。でも、『雲』と言っていいのかしら。普通、雲は空の上にあるもの。でも、この雲は、地上から空に伸びてくるんですから……、雲と言っていいのかしら……」

 クラウディアは、先ほどから、何やらブツブツ独り言。本質的なことから少しずれているような気がするが、彼女にとっては、雲の概念が問題のようだ。

 クラウディアは、不意に、わたしの方に向き直り、

「カトリーナさん、どう思います? これは、雲?? それとも???」

「えっ!?」

 急にそんなこと言われても……

 ともあれ、雲の概念の問題はさておき、このキノコ雲の下では、ナスル殿下やザリーフ、リザードマンの精鋭たちが、今ごろは、あとかたもなく蒸発しているだろう。御愁傷様という以外ない。でも、よくよく考えてみれば、それならそれで、いわゆる「後腐れがない」ということも……


 このように、あれこれと取り留めもない話をしながら、1時間程度が経過。いつしか、キノコ雲は消え去っていた。果たして、地上はどんなになっているのやら……

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