空にキラリと
わたしはクラウディアをつかまえ、雲一つない空を指さし、
「あそこに何か光るものが見えたんだけど……」
「空に光るもの? なんでしょう」
クラウディアは額に手をかざし、空を見上げた。ナスル殿下の話が終わったのか、ガイウスもやってきて、
「ふたりして、どうしたんだい? 何か、面白いものでもあるの??」
「いえ、そうじゃなくって、カトリーナさんが、お空にキラリと…… 流れ星……かしら???」
クラウディアが手短に事情を説明すると、ガイウスも興味を引かれたのか、同じように空を見上げた。プチドラも、つられたように、わたしの肩によじ登って体を反り返らせるようにしながら、さらに、アンジェラも小刻みに何度かジャンプしながら、空を見上げた。そんなことをしているうちに、他のダーク・エルフも、「なんだ、なんだ」と、わたしたちの周りに集まってきて……
そして……、みんなで雲一つない空を見上げた。
程なくして、ダーク・エルフのひとりが、空の一点を指さし、
「あっ、あれだ! なんだか、空にキラッと…… あっ、ばらけた!! あれは!?」
その方向を見ると、空に白っぽいスジが幾つも……
すると、ガイウスは、やにわに顔色を変え、
「これは、もしかすると……、『とんでもないこと』が起こる前兆かもしれんぞ」
クラウディアはガイウスを見上げ、先程の話のおさらいの意味も込め、
「古い記録によれば、『巨大なカエルを屠れば、辺りは金色の光に包まれ、やがてすべてが滅び去るだろう』ですが……、もしかして、本当にそんなことが実現するのかしら?」
「分からんが、用心するに越したことはない。『とんでもないこと』が起こってからでは遅いからな」
ガイウスは、てきぱきと仲間のダーク・エルフに指示を出した。すぐに、20人くらいのダーク・エルフが輪になって、何やらブツブツと呪文の詠唱を始める。すると、輪になったダーク・エルフを包み込むようにして、超特大のシャボン玉のようなフワフワとした魔法の球体が出現した。
「さあ、みんな、早く、この中に入るんだ」
ガイウスが球面から内部に体を差し入れると、球体は割れたり弾けたりすることなく、そのままガイウスの体全体を包み込み、球体内部に取り込んだ。他のダーク・エルフも次々とガイウスに続く。わたし(プチドラを含む)とアンジェラも、クラウディアに手を引かれ、半信半疑のまま、その球体の中に入り込んだ。
球体は、ダーク・エルフ、わたし(プチドラを含む)及びアンジェラを収容すると、ゆっくりと宙に浮かび上がった。球体の外では、リザードマンたちが、こちらを指さして何やら言い合っている。彼らをそのままにしていくつもりだろうか。基本的には他人事でどうでもいいことだけど、一応、一緒に旅を続けた仲間でもあり、気にならないではない。
ガイウス曰く。
「しょうがないんだ。定員オーバーでね」




