助っ人はダーク・エルフ
クラウディアは、紅茶を飲み干すと、わたしのすぐ近くまでにじり寄り、
「カトリーナさん、随分と遠くまで来たものですね。追いつくまで、結構、時間がかかりました」
「あら、そうなの…… でも……、え~っと、あなたたちは、確か、とてつもなくおぞましい光景を見たことの影響によって……」
そう言いかけると、クラウディアは静かに手を差し出し、わたしの口に当て、
「メンタル面では幾分回復しましたが……、でも、あまりその話は……」
クラウディアたち、ダーク・エルフは、バイソン市の一件に絡み、ツンドラ候の△△△をブライアンの○○○に激しく×××しているおぞましい場面を目撃してしまったせいで、多大な精神的ダメージを負っていた。でも、あの事件から、かなり経つ。時間が彼女たちの(言わば)心の傷を癒してくれたのだろう。ただ、エルフの繊細な神経にとって、まだまだ完全に回復とはいかないようだ。
「ところで、どうして、あなたたちが、こんなところに?」
すると、クラウディアはわたしにピッタリとくっつき、頬ずりをしながら、
「そんな他人行儀な。わたしたちとカトリーナさんの仲じゃありませんか。わたしは、ただ単に、カトリーナさんたちのことが心配になって……」
話によれば、わたしたちが旅立った後、体調が回復してきたクラウディアたちは、ゴールデンフロッグやトードウォリアーの領域について、エルフの古い文献を調べたという。その結果、とにかく「とんでもないこと」が分かったので、「心配になって」追いかけてきたとのこと。
「じゃあ、その『とんでもないこと』って、具体的には、どういうこと?」
「それがその……、具体的なことは、よく分からないのですよ」
文献には、「巨大なカエルを屠れば、辺りは金色の光に包まれ、やがてすべてが滅び去るだろう」と、謎めいたことが書かれていたらしい。その意味について、ダーク・エルフの間であれこれと議論になり、その結果、
「『それじゃ、みんなで行ってみて、どんなことが起こるのか確かめてみよう』ということになったのです」
クラウディアはニッコリと微笑んだ。「心配になって」と言ってるけど、本当のところは、純粋に興味本位、すなわち、単に面白そうだから追いかけてきただけだったりして……
ダーク・エルフの集団は、総勢50人くらい。10人ずつのグループに分かれて巨大なカエルを1匹ずつ取り囲み、まさにフルボッコのタコ殴り状態。さすがの巨大なカエルも、ダーク・エルフのハイレベルな魔法攻撃及び物理攻撃の連携技を食らっては、まったく手も足も出ない。隻眼の黒龍も、先刻までの借りを返そうと、ダーク・エルフと一緒になって、噛み付いたり引っ掻いたり殴ったり、その他諸々(接近戦に移行している)。
やがて、5匹の巨大なカエルは、次々と目や口から火柱を上げ、後ろ向きに倒れていった。隻眼の黒龍は、余程腹に据えかねていたのか、なおもしつこく攻撃を繰り返しているが、巨大なカエルは巨体を湖に横たえ、ピクリともしなくなっている。




