5匹の巨大なカエル
わき上がる泡の数は、みるみるうちに増えていった。粒も大きくなっていく。
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トードウォリアーの「@@@」もますます高く、やかましくなって、よく見ると、隻眼の黒龍の火炎攻撃により半減していたトードウォリアーの数も、元に戻っている。水中から増援が現れたのだろう。
このままでは、多分、非常にマズイ。5カ所にわき上がる泡から巨大なカエルを5匹も呼び出されたら、(1匹でもかなり苦労していたところだから)勝ち目はない。もっとも、隻眼の黒龍も、このくらいは分かっていて、慌てて旋回をやめ、湖に向かって急降下。口を開けて、トードウォリアーの群れに狙いを定めた。しかし、敵もさる者、火炎攻撃で丸焼きにされる前に、サッと水中に身を隠す。これでは攻撃のしようがなく、隻眼の黒龍は、空しく上空に舞い戻った。
水面5カ所は、わき上がる泡により持ち上げられ、湖面は大きく波立っている。
「お姉様!」
アンジェラは、わたしにしがみつき、悲鳴を上げた。わたしはアンジェラを強く抱きしめつつ、何も言わない……いや、言えない。この状況で「絶対に大丈夫」と力説しても、気休めにもならないだろう。
やがて、トードウォリアーの大群が、もう一度、一斉に顔を出し、
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すると、水面5カ所がさらに大きく盛り上がり、その下からザバァッと……、やはり、とんでもなく巨大なカエルが5匹、顔を出した。同時に高波が湖面を覆い、舟は嵐の中にいるように大きく揺れた。
「ひぃ~! なんでや!? なんでこんな…… あれ? メガネ、メガネはどこや!?」
今度はザリーフが悲鳴を上げた。パニックに陥っているようだ。トレードマークの大きなメガネは、舟が揺れた拍子に湖に落ちてしまったらしい。ちなみに、わたしとアンジェラは船べりにつかまり、湖に投げ出されないようにするのに必死。
しばらくして、どうにか湖面の様子が落ち着いたところで周囲を見回すと、わたしたちの舟の半数程度は失われ、湖面には砕けた木片が浮かんでいた。湖に投げ出されたリザードマンは、木片につかまったり、立ち泳ぎしたりして、水面を漂っている。わたしとアンジェラとザリーフの乗っていた舟は、多少の損傷は見られるものの、一応、無事だったらしい。
でも、最悪な状況に変わりはない。巨大なカエルが5匹、光沢のある舌をチラリと見せ、ゆっくりとこちらに迫ってくる。隻眼の黒龍が、その周囲を飛び回り、火炎や魔法で攻撃を加えているものの、まったく意に介する様子はない。どうあがいてもダメっぽいけど、こういう時は、あきらめが肝心か……




