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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第13章 とんでもないこと
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隻眼の黒龍VS巨大カエル

 隻眼の黒龍と巨大なカエルの戦闘は続く。手数は圧倒的に隻眼の黒龍の方が多く、火炎や魔法により遠距離から攻撃を繰り返している。しかし、巨大なカエルの防御力やスタミナは常軌を逸しているようだ。いくら攻撃をくらっても、ひたすら前に出て、プレッシャーをかけてくる。

 巨大なカエルの後方では、トードウォリアーの応援団が、ひたすら、


 @@@……………………… @@@……………………… @@@………………………


 そのうち、隻眼の黒龍もイライラしてきたのだろう。おもむろに巨大なカエルの頭を越えて、その後方に回り込むと、トートウォリアーの群れに向かって火炎放射。トードウォリアーは、慌てて水中に身を隠す。しかし、逃げ遅れたトードウォリアーが約半数、真っ黒焦げになってプカプカと湖に浮かんだ。

 アンジェラは、その戦況をじっと見つめていたが、しばらくすると不安げに、

「本当に大丈夫でしょうか。もしかして、本当に、もしかすると……」

「大丈夫とは思うけど、もしかしたら、本当に……」

 なんだか、わたしまで不安になってきた。もし、ガイウスとクラウディア及びダークエルフの軍団がいれば、巨大なカエルの周囲を取り囲み、フルボッコのタコ殴り状態にすることもできただろう。これなら、いくら巨大なカエルの体力が常識外れでも、持ちこたえられないと思う。


 しかし、現実の戦闘では、時間がたつにつれ、巨大なカエルの優勢が明らかになってきた。「大きいことは、いいことだ」とも言うが、巨大なカエルは、隻眼の黒龍の攻撃を余裕を持って受け止めている。隻眼の黒龍は、攻撃を繰り出しながら、しかし有効なダメージを与えられないうちに、体力を空費し、だんだんと動きが鈍くなっていった。

 やがて、隻眼の黒龍は、ピタリと空中で停止した。何を考えているのだろう。一応、何か策があってのことだと思うけど、果たしてどうだか。巨大なカエルは勝ち誇ったように、口から光沢のある舌を見せ、隻眼の黒龍との距離を詰めていく。

「お姉様!」

 アンジェラは、たまらなくなったのか、わたしの腕にしがみついた。

 カエルがエサを獲る時は、通常、獲物を射程距離に入れ、目にもとまらぬ早さで襲いかかり、丸呑みにしてしまう。この巨大なカエルも、その例に漏れず……

「きゃあ!!!」

 アンジェラは、悲痛な叫び声を上げた。ナスル殿下も、ザリーフも、さらにトードウォリアーの精鋭たちも驚きの声を上げた。すなわち、巨大なカエルは、隻眼の黒龍に飛びかかり、大きな口を開けてパクリと、隻眼の黒龍をひと呑みにしてしまったということ。

 巨大なカエルは、くるりと向きを変えた。どうやら、次の獲物は、わたしたちらしい。これは、冗談ではなしに、マズイ……

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