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ザ☆旅行記Ⅸ 南方探検記  作者: 小宮登志子
第2章 帝都の情勢
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エルフの精神に深い傷を

 わたしは屋敷に戻ると、(プチドラの解錠魔法により)「開かずの間」の床に設けられたドアから地下道を通って、ガイウスとクラウディアのいる地下室に向かった。いつもなら、ふたりの笑い声が地下道へも響いているくらいなのに、今日は珍しくひっそりとしている。どうしたのだろう。一抹の不安を感じながらドアを開けてみると、

「あら……、カトリーナさん、しばらくぶりです……」

 いつもなら子供のように喜ぶクラウディアが、今日に限っては、なんだか億劫そうに肘をついていた。ガイウスに至っては、机の上に突っ伏したままピクリともしない。

「クラウディア、一体、これは?」

「このところ、ちょっと……じゃなくて、とても、具合が悪いのです。回復するまでは、もうしばらくかかりそう……」

 本当に気分が悪そうだ。これは、やはり、ツンドラ候の△△△をブライアンの○○○に激しく×××しているおぞましい場面を目撃してしまったせいだろうか。

「調子が悪そうな、その理由は……」

 すると、クラウディアは、一瞬、ビクンと体を震わせて立ち上がり、

「ああ! お願いだから、思い出させないで!!」

 そして、両手で口を押さえ、わたしが入ってきたドアとは反対側のドアを開け、どこかへ走り去った。ツンドラ候とブライアンの×××は、エルフの繊細な神経に重大な(破滅的な)影響を及ぼしたようだ。


 やがて、ガイウスが体を起こしてわたしを見上げ、

「ああ、君か…… 来ていたのか」

「お邪魔してるわ。クラウディアにもあなたにも、この前の件での後遺症が残ってるみたいね」

「いや~、ちょっとした悪戯のつもりだったんだが…… あんなに下品なものとは……」

「気分が悪そうなところ、申し訳ないけど、少しだけ教えて欲しいの。『ゴールデンフロッグ』って、知ってる? 次期皇帝候補者が帝位に就くために手に入れなければならないらしいのよ」

 ここは、いつもの調子なら、日頃の非合法活動の成果として、有益な情報を示してくれるところ。しかし、今日は違っていた。

「さあ~、よく分からないなぁ……」

 ガイウスの話によれば、ツンドラ候とブライアンの×××の影響は極めて深刻で、このところは活動に身が入らず開店休業状態とのこと。

「残念ね。あなたたちなら、何か知ってると思ったんだけど」

「いや~、面目ない。調べれば分かるかもしれないが、こんな状態だから…… ただ、そう言われてみれば、昔、南方のトカゲ王国よりさらに南、トードウォリアーの国に、それらしいものがあるという話を聞いたような……」

「ありがとう。参考になったわ」

 なんだか頼りないけど、何もないよりマシだろう。これから先は、面倒だけど、なんとか自分で調べてみよう。

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