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悠遠の醒装使い(エヴァイラー)  作者: 天御夜 釉
CODE=Ⅲ 『冥王』と呼ばれた醒装使いと3人の【王】-three kings and Hades-
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醒装コードNo.060 「聖典精3《Ark_Kairos》」

 数日後。


 須臾しゅゆとヴァルは、明らかにやつれていた。

 意識というものは、すればするほど当人にとっては負担がかかるものであり、須臾とヴァルもそれは分かっていたのだが。


 それでも、人に見えない妖精が、自分たちだけに見えて監視されていると思うと気が気でない。

 何時も通りを装っても、それは無理と言うものだ。


 まるで、授業参観に親が来たような、そんな状態。


「うぅー」


 疲れましたぁ、と疲労困憊の状態でヴァルは我慢できなくなったのか、身体の力を抜いて須臾に預ける。


 ここは須臾の部屋だ。ベッドに腰掛け、ヴァルはぼぅっと何も考えたくないと頭を降る。


「どうして私が、こんな」

「それはね、あなたたちに私たちが起こされたからよ」


 そのくらいは分かっていた。

 でも、理解と納得というのは全くの別物であって、彼女が望んだことではないというのが本音である。


 雪那セツナの言葉に、よりいっそう頭を悩ませるヴァルキャリウスと、雪那を興味深そうに見つめる須臾。

 雪那が須臾に対して色目を使ったところで、ヴァルとエッジが同時にせき込んだ。


「須臾さん、一体どうなってるんですか」

「雪那も」


 と、雪那と須臾の二人が目を離して、同時に肩をすくめる。

 その状態、まるで修羅場である。


「結局、いつまでいるんだ?」


 須臾はお詫びにと、ヴァルの白銀に輝く髪の毛をさらさらとなでながら、エッジに問いかける。


 エッジと雪那は顔を見合わせ、首を振る。

 その意味が分かったのか、二人ははぁと息を吐いてふて寝した。


「……あらあら、本当に寝ちゃった」

「……どうするんだこれ」


 ふて寝のフリだけするつもりが、本当に寝てしまった二人をみて。

 雪那とエッジの二人は顔を見合わせると、もう一回ため息をつく。

 そして、そのまま彼女たちのそばに、寄り添うようにして眠り始めた。




「最近、目に見えて疲れているね」

「本当。……会長どうしたのかしら。今日も早退したし」


 何で三年であるホムラが、二年の状況を昼休みに知っているのかという疑問はさておき、愛漸あいざキリは生徒会長室でううんと唸る。


「ヴァルちゃんも休み?」

「早退」

「いよいよ何で君が知っているのか分からなくなってきた」


 そのキリの言葉に、ホムラ・フラッシュオーバーは肩をすくめて「会長と副会長のことくらい、事前に連絡が入ってるわよ」と携帯を見せた。

 そういえば、とキリはやっとあの二人が力で地位を勝ち取ったのを実感する。

 今日初めてのものである。


「ところで」

「ん?」

「あんなに『冥王』呼ばわりして、今ではすっかりだね」


 キリのせりふの後、顔を赤くしたのは勿論ホムラだった。


「だってだって、会長だし……」

「それ以上の気持ちも、考えてるんじゃないの?」


 キリの目は鋭く、同時に相乗効果か彼の言葉も同様に鋭いものだった。

 唯一違うのは、口調が柔らかいことだろうか。

 ただそれだけなのに、ホムラは思った以上に彼に対しておびえてしまっていた。

 本能的な恐れ。それは、彼女が最初須臾にあったときに感じたものと同じだ。


 物静かでも、同時に柔らかくても。

 人種が違う、オーラが違う。

 そんな恐怖を直に当てられて、ホムラは泣き出しそうになるのを必死に堪えた。


「まあ、どうなろうがホムラさん自身が決めることなんだけれど」

「……」

「あ、怖かった? ごめんね」


 ホムラは、「今すぐここからでたい」という気持ちしか頭になかった。





 ホムラが逃げるようにして生徒会長室から出て行くのを見届けて、キリはため息をつく。

 そして、窓から差し込む太陽をじっと見つめて目を細めた。

そろそろ完結するかもです。

……ええと、なんかね、うんはい。


書く気なくしたっていうか、思ったよりも早く主人公が強くなりすぎて完結が繰り上げになりそうっていうか。

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