表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠遠の醒装使い(エヴァイラー)  作者: 天御夜 釉
CODE=Ⅱ 邪の二剣使いと焔の刃-Evil Doubleswordman And Ablaze Blade-
31/69

醒装コードNo.031 「王」

短いですっていうか、つなぎです

「はぁ、これでのこり一人だな」


 リースが目覚めてから約一週間。

 ここ、試合会場で篠竹すずたけ須臾しゅゆは、試合を終わらせて汗を服の袖で拭っていた。


 目の前には、医務室に運ばれようとしている男子生徒の姿。

 今し方、須臾が倒した醒装委員の一人だ。


「須臾、さん。お疲れさまです」

「たどたどしいんだが……。どうした? 今まで通りで全くもってかまわないのに」


 ヴァルがモジモジしてすでに3日。須臾はなぜヴァルが変わったのか、わからない。

 しかし、ヴァルは違う。

 リースに負けたくないという気持ちと、せっかく恋人になったんだから、という気持ちがごっちゃまぜになって意味の分からないことになっているのだ。


「これ、タオルです」

「ありがとな」


 今まで、頭をなでられても照れくさいだけなのに。

 変に意識してしまい、ヴァルは顔を手で隠してしまった。


 その様子を、アンクとキリはほほえましく見つめていたのだが、それは別の話。


 須臾は、顔を隠したままのヴァルを抱きしめて、そのまま持ち上げて試合会場から出ていった。


「にゃっふ!?」

「いいから大人しくしてろ。……何百人もこの様子を見てたら、さすがに察するだろ」


 その言葉をきき、ヴァルも大人しくなる。

 そんな彼女を見て、須臾はふっと笑ってそのまま出ていくのだった。







「次で最後だな」

「醒装委員会長への道、ですよね?」


 須臾立ち4人は、放課後人の少ない食堂の一角で談笑をしていた。


「まあ、須臾の実力だったらここまでは余裕っていうか、わざわざ一人一人する必要もなかったと思う」

「うわぁ」


 キリの判断に、アンクはただただ呆れるばかりだった。

 アンクも、かなりの優等生だというのに実技では絶対に勝てない、と判断しているのが須臾なのだ。


「実戦だけで考えたら、須臾はこの学園で3位以内だとは思ってるけど」

「……その中にキリも入っていることを忘れるなよ?」


 このふたり、さすが化け物と呼ばれているだけあると、アンクとヴァルは顔を見合わせた。


 ちなみに、余談だが。

 須臾が【冥王】と呼ばれているそのまさに逆で、愛漸あいざキリは【聖王】と呼ばれている。


 それだけでなく、この学園には何人か異名で【王】と呼ばれる人が入るのだが、その中でも秀逸なのがこの二人なのだ。


「特に、【聖王】と【冥王】が仲いい時点で、この学園はカオスなんだけどな……」

「何か言ったか、アンク?」

「い、いや! 何でもない!」


 須臾の質問にアンクは慌て、須臾が怪訝な顔をしながらもほかの事に興味を示すところでホッと息を吐く。


「【王】、か」

「この学園の非公認異名のことですよね、私もきいたことがあります」


 とくに須臾さんで、とヴァル。

 須臾はしかし、どうでもいいようだ。


「不本意っていってしまえばそれで終わるが、それだけ俺の力が小雨瞑されているって事だろう?」

「わーおポジティブ。そのせいで滅茶苦茶畏れられているのも無視かー」


 キリの言っていることももっともな話だが、俺には関係ないねと須臾は一蹴した。


「守るものが増えたからな。もっと強くならないとな」


 そういって、須臾はヴァルの肩を抱く。

 ヴァルは恥ずかしいやらうれしいやらで、頭の中が再度めちゃくちゃになり、どうしていいのかわからなくなる。


「うーん、ラブラブだと思うんだけどなぁ。どうおもう? アンク」

「様子見しないとってかんじだけどな、俺は。……リース? ちゃんの件もあるし」


 そうだねぇ、とキリはアンクの言葉に賛同し、とりあえずは様子見ということになったのだが。


「それにしても、こんなところでいちゃいちゃしてもらったら困るなぁー、風紀委員が来ちゃうよー」

「おう、すまん」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ