表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠遠の醒装使い(エヴァイラー)  作者: 天御夜 釉
CODE=Ⅱ 邪の二剣使いと焔の刃-Evil Doubleswordman And Ablaze Blade-
24/69

醒装コードNo.024 「生徒会」

よろしくお願いします。

「……生徒会に入って、俺が歓迎されるどころか……」

 須臾しゅゆはキリに言われた言葉を頭の中で反芻しながら、持っていた白湯をテーブルの上に置いた。

 キリは「何かな?」と言った純粋無垢な顔で須臾を見つめている。

「キリの立場も危ういんじゃないのか?」

「それは、僕が君を例えば風紀委員会に突っ込んだりしたらそうなるんだろうけど」

 君は、この学園にいくつの委員会が存在するって知っているかい? とキリは言った。その顔には笑みが含まれており、須臾はバカにされたような、また試されているような微妙な気分になる。

 しかし、別に知らないと言う訳でもないので須臾は指折り数えながら答えることにした。

「キリが所属している中央委員会、風紀を取り締まる風紀委員会、醒装関係の争い事をメインに纏める醒装委員会、監査委員会、行政委員会の全部あわせて5つ」

「ご名答。君は風紀委員会と醒装委員会の違いを知っているかい?」

 さらに質問を重ねるキリ。それに対して須臾はこともなさげに即答した。

「風紀委員会は基本的な風紀のみを取り締まるため、喧嘩など実力的なものに効果を発揮しない。逆に醒装委員会はそれらをメインにする代わりに、風紀とは別の問題点がある」

 須臾は、生徒会の裏事情などもちろん知るはずなんてない。

 そのため、醒装委員会が結局は何をしているのかなど知らないのだ。

 対するキリは、須臾がこれほどまでの知識を持っていたことに感心していた。

 そして、自分の選択が間違っていなかったことを再確認する。

「そこで折り入って話があるんだけど。……醒装委員会の長になってほしいんだけど?」

「は!?」

 いや、ちょっといろいろとあって座があいちゃってね、そこで実力では最強の須臾に頼んでいるんだけど。

 そうキリは屈託のない笑顔で笑い、須臾に説明を開始する。

 須臾にとってはそのほとんどが理解に時間がかかるものだが、彼は彼なりに必要な知識をため込んでいった。

「うぐぐ。つまりキリがいいたいのは、前回の長である3年をあっさりキリが倒したら、相手が長の座を降りちゃったってわけか」

「そそ」

 大した問題じゃないね、とほほえんだ幼なじみに対して、須臾はため息をつき。

 須臾は、相手のプライドを傷つけるようなことをするなよとキリに注意した。

「醒装委員会は少し特殊だからねー。実力主義だから、別に副会長をそのままあげてもいいんだけど……」

「ならなぜそうしないんだ? 一番楽だろう?」

「そういうことを求めているわけじゃないんだよねぇ……そもそも、副会長がホムラ・フラッシュオーバーさんだし」

 その言葉に、須臾は目を変貌させた。

 正しくは、恐ろしいほどまでに目をとがらせた。

「なんだって? ……どうやったら会長になれるんだ?」

「簡単だよー」




 キリは、須臾を見つめてにやりと笑った。

「正式な試合で、1から全員倒せばいいんだよ」









「思ったよりも簡単に言うんだな、キリめ」

 須臾は、学園内の食堂前廊下をヴァルと歩きながら悪態をついた。

「でも、須臾先輩は最強ですから」

「……そうなのか?」

 金色の髪の毛を日光に受けて、キラキラと煌めくヴァルが即答したが須臾は首を傾げた。

 須臾に、自分の強さに対しての自覚はほとんどない。

 というよりは、彼は自分の強さをほとんど問題視していない。

 この学園に入ってから、自分のためだけにその力を使ってきた。その相手はほとんどが素人で、父親の双次そうじから訓練を受けていた須臾にとっては敵にもなりえない相手だった。

 未だ目覚めない幼馴染のリース。彼女が眠りに堕ちてから初めて人のために力を使ったのは、新人戦決勝のときだろう。

 須臾はそこまで考えて、ヴァルの顔を見つめる。

「俺、そんなに強いか?」

「私は、少なくとも学園内最強だと思っていますよ? 次いで愛漸あいざキリ生徒会長、アンク先輩ですかね」

「そういえば、アンク最近見かけないな……」

 須臾は、数少ない友人である金髪の少年の姿を思い浮かべた。

 思えば、すでに3日。彼に会っていないなと須臾は思い返す。

「どうしたんでしょう? 学園にも来ていませんでしたし」

「……気になるのなら仕方がない。この後リーン女史に訊いてみよう」

 それよりも先に飯だ、と須臾は廊下の突き当り、食堂前券売機までヴァルを連れていくと、好きな定食を選ばせた。

 ヴァルは、何度断ろうとも無駄なことと分かっていたため特に何も言わず、B定食を頼んだ。

 当たり障りのないリーズナブルな値段に、男性でも充分満足の行く量を備えた定食である。

「いつも何か、申し訳ない気がするのです」

「ヴァルに後輩ができたとき、甘やかせてやればいいだろうよ」

 須臾は相変わらずとがった目を少しだけ細めて軽く笑うと、ヴァルに券を渡して自分の分を購入した。

 ヴァルは、そんな須臾の姿を見て、何かおかしくなりつられて微笑む。和気藹々としているが、忘れてはならないのはこの二人が最強の二人組だということだ。

 

 片方は「銀の楯」。


 最強の楯と称されるヴァルキャリウス・アキュムレート。



 そして「黒の双剣ダブルソード」「よこしまの二剣使い」


 最強の剣。






 篠竹しのたけ須臾しゅゆ

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ