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悠遠の醒装使い(エヴァイラー)  作者: 天御夜 釉
CODE=Ⅱ 邪の二剣使いと焔の刃-Evil Doubleswordman And Ablaze Blade-
23/69

醒装コードNo.023 「過保護」

少々短いです、ごめんなさい。

「結局、あの先輩方はどうなったのでしょう?」

「被害者が加害者のことを気にする必要はない」

 屋上から外へ放り出された男たちを、ヴァルはは不安げな顔で須臾に末路を訊く。

 しかし、須臾は返答を流してキリとスタスタと屋上から去っていった。

 あわてて、二人を追うヴァル。

「ヴァルちゃんは優しすぎるね。あんな人たちは退学になっちゃえばいいんだよ」

「キリ生徒会長も冷たいですよ!?」

 二人の考えにヴァルは戸惑った。同時に、自分がどのような扱いを受けているかも同時にわかり、微妙な気持ちになってしまう。

「キリ、この後は何か授業でも?」

「僕はないかな」

「ならこの後三人でどこかに食べにいくかぁ。……ヴァルこの周りでおいしい飯屋知っているか?」

「んぅ」

 ヴァルは頭を切り替え、うなずいて周りの人を見回した。

 新人戦優勝した新入生、2年生で異例の生徒会長、そして冥王。

 この三人が同時に集まって歩いているのだ。生徒は壁に張り付くようにして三人を避けた。

「……ヴァルキャリウスさんかわぇぇ」

 そんな声は聞こえてくるものの、それもすべて須臾とキリの視線で黙っていく。

 ヴァルは、彼等の影響力に驚きながらも、須臾の制服、そのすそを引きながら校門までついて行った。


「なぜ、二人ともそんな顔をするんですか?」

 校門まで無言の二人に、ヴァルはしびれを切らしてそう訊く。

 須臾は無表情だ。「理由はない」とでも言わんばかりの顔で首を振ると、ヴァルから目をそらしてキリの方を向く。

 キリは逆に目が輝き、ヴァルの手を握って答えた。

「ヴァルちゃんは須臾の大切な人だからね。その人を過保護にするのは僕の役目だよ?」

 大切な人、と聞いてヴァルは勢いよく須臾の方を向いた。同時に頬にも赤が注し、彼女は無意識に須臾へ手を伸ばす。

 須臾の手に手が届いたところで、ヴァルはいったん止まる。

 しかし、須臾はヴァルの引きかけた手をしっかりと握る。

「ふぇ?」

「……どうした?」

「いえ、なんでもないです」

 顔を赤くして、耳まで真っ赤にしてヴァルは首を振る。

 須臾はそのいみがわからず、ハテナマークを頭の上に浮かべていたがそれもすぐになくなった。

「いいや、どこか案内を頼む」

「はい!」




 ヴァルが案内したのは、学園からそう遠くないレストランだった。

 雰囲気は喫茶店で、須臾は店内のまぶしさに目を細めながら店内に入る。

 彼女ヴァルといっしょにいるときは無意識に、その目の鋭さは緩和されている。

「いらっしゃいませー」

「三人で」

「はいー」

 店員に案内され、三人はレストランの一角に案内された。店内すべてが見渡せ、さらには窓際となかなかいいポジションにつくことができたようだ。

「ここの店、結構隠れた名所として雑誌とかで紹介されているのですよ」

「そうなの? ……いい場所を教えてもらったなぁ。雰囲気も結構いいし」

 ヴァルの説明にキリが食いつき三人の雰囲気も和やかなものになる。

 しかし、須臾はというと全くもって警戒を解いていなかった。

 周りの客をチラチラと見やり、反応を見比べている。

「須臾先輩、なにかお気に召しませんでしたか?」

「いや、少し周りが気になってな」

「そうですか? 何かあったらすぐに言ってくださいね」

 須臾は、何故自分がここまで「何か」を危惧して警戒しているのかと、自分に問いた。

 しかし、その「何か」が分かるはずもなく。

「今日は俺の奢りだな。キリもヴァルも、好きなものを頼むといいぞ?」

「やったね!」

 キリが、子供の様にはしゃいだ。

 しかし、その眼は、まじめそのものだった……。




「須臾、君に挑戦状をたたきつけた、っていう女子生徒のことだけど……」

「何かわかったのか?」

「うん、先輩だね」

 先輩、という言葉に須臾は目を一層鋭くさせた。

 ここは須臾の部屋である。勿論、隣の部屋にはヴァルがすんでいるがキリは新人戦後、何度も須臾の部屋に訪れている。

 用事は様々だ。しかしどれも、決してヴァルに聴かせてはいけないようなものだった。

「先輩、か。なら余計にタチが悪い」

「そうだね、今回のことがあって何か因縁をつけられたのかもしれないし」

 キリは無言で一枚の資料を取り出し、須臾に渡した。

 ホムラ・フラッシュオーバーについてのものである。

「結構優等生じゃないか。それこそ蘭丸らんまる美嘉みかレベルの優等生」

「そうだね、問題なのはそこだよ。なんで優等生が須臾を狙うんだい?」

「簡単に考えが付くものは、劣等生がしゃしゃり出てきたから、という感じかな」

「ああ……そういうことかな。それなら動機としては十分だけど」

 学生のすることなんて高が知れてるし、とキリ。

 しかし、その眼は鋭い。

「とりあえず、キリも何かの用事がない限りヴァルを守ってやってくれよ」

「そうだねー。ただし、一つお願いがあるんだけど?」

 キリの話に、須臾は頷きまず話を聞くことにした。







「君に、生徒会へ入ってほしいんだけど……どうかな?」

詳しい話は、活動報告にて。

ありがとうございました。

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