醒装コードNo.019 「剣と楯の関係」
この話で、第1章は終了となります。
読んでくださった方々、誠にありがとうございました
そして数日後、須臾は屋上にいた。
新人戦が終わって以来、『冥王は学園最強かもしれない』・『篠竹須臾と篠竹双次は実の親子で間違いないらしい』という噂が立って悪口を言う人は少なくなったものの、同時に彼に話しかける人も元々少ないはずがさらに少なくなっていたのだ。
しかし須臾は気にしない。ヴァルの問題も解消され、ヴァルは新人戦優勝者として名を上げた。もう教育することなどなかった。
「須臾先輩」
後ろから声をかけられ、須臾は振り向く。
そこにいたのは柔らかい微笑みをたたえて須臾を見つめるヴァルキャリウス・アキュムレート。
夕焼けに髪の毛がきらきらと反射し、また目も宝石のように取り込まれそうになる。
須臾は数秒見惚れてから、視線を前に戻した。
自分の隣で足音が止まる。
「今日は訓練しないんですか?」
「したいか?」
「はい」
ヴァルは頷き、須臾の方を見た。
その目には、決意の感情が確かに紛れ込んでいる
「須臾先輩はどうですか?」
「ヴァルに教えることはない。もう、【楯装】で攻撃は可能だ。ほかになにを望む?」
須臾が答えるも、ヴァルは首を振ってそれを否定した。
ふるふるっ、と首を振る様はまるで天使を思わせるほど愛らしい。
そんなことを須臾考えていると、おもむろにヴァルは口を開いた。
顔はほんのりと紅にそまっている。
「私は。もっと須臾先輩に近づきたいですよ?」
「どういう意味で?」
須臾は笑いをこらえながら、顔を赤らめながらも言葉を紡ぐ少女を見つめる。
ヴァルは、胸の高鳴りを抑えることができないままに、話した。
「……二人で一つの存在ですよ? 剣と楯の関係です」
須臾は、次こそ笑って見せた。
簡単なことだろう、と思ってしまう。
同時に、どうしようもなくヴァルを、愛しく思ってしまった。
「剣と楯の関係……。ああはいはい」
明日から隔日で更新します。




