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第6話・その子供が見たものは~騎士団長は渋面し、青年は宥めて問う~

第1章 戦う女神の選んだ巫女姫



  第6話・その子供が見たものは~騎士団長は渋面し、青年は宥めて問う~




 森を暫く東へと進んでいたファンとクロードは不意に足を止めた。


 茂みの奥。木陰に何かが潜んでいるのを気配で悟る。


 言葉も目配せも何も無く、先にクロードが動いて茂みを覗く。


 強面の顔に微かな、けれど確かな変化。


 驚きと焦りが浮かんだ事に、ファンは眉を顰める。


「アイン」


 低い声が呼び掛けるのを聞いて渋い顔をした。


 呼ばれたアインは薄っすらと瞼を持ち上げる。


 人を呼んで来ない様にと固く縛られ、声を上げない様にと布を噛まされたアインは、それでも何とか逃れようと散々暴れて、暴れ疲れてぐったりと幹に凭れ掛かっていた。


「なぜここに?」


 疑問のままに呟くファンを無視して、クロードはアインを縛めている紐を解き、抱き寄せる。


 口を塞いでいた布を取り除かれたアインは吐息の様な擦れた声でクロードを呼んで泣き出してしまう。


 縛めの跡が鬱血して残る白い手を伸ばして自分からも抱き着く。


「ここ、怖い……ダメなのに……入っちゃ、いけないのにっ……」


 途切れがちの声が訴える。


「金の髪の少女を見なかったか?」


 それを無視して、クロードから強引に引き離したファンが詰問口調で言う。

 

 眼差しにも態度にも厳しさや拒否感が滲み出ている。


 萎縮して、息さえ詰めたアインには返事をする余裕がない。


 ファンから引き戻したクロードが、背を軽く撫でて同じ問いを告げる。


「見たよ。赤い髪の男の人と一緒に奥に行っちゃって……ダメなのに……怖いのに…平気そうで、不思議……」


 宥められて、大きく息を吐いたアインがそう答えるとすぐにファンが柵門の奥を見た。


「クロード」


 促す意味で呼び掛けたファンを一瞬見て、アインに視線を戻す。


「連れ戻す。来る?待つ?」


「ここは入っちゃいけない場所で……だから、それに……」


 問われてアインは首を横に振った。


 もう一度、ファンが少し苛立たしげにクロードを呼ぶ。


「先に行け」


 すぐに追い付くと言われ、ファンは錠の壊された柵門を潜る。


「ディラート神官長から連れ戻せと頼まれた。アインはどうする?」


 落ち着かせて質問を繰り返す。


「クロードたちは許可、貰ってるの?でも、僕は許可、ないし……それに、怖い……此処には、この奥には何か、怖いものがあって、危ないと思う……邪魔になるのは嫌だから、戻る」


 漸く泣き止んだアインの答えに、クロードは目を細めて「分かった」とだけ返した。


 軽くアインの頭を撫でて立ち上がる。


 ファンの後を追って柵門の奥へと走り出した。


 残されたアインは不安そうにその背を見送って、草木の陰に隠れて見えなくなった所で乱れてしまった着衣を直す。


 アインが神殿に来たのはつい最近の事で、体に合う大きさの制服が無い。


 その為、13歳と言う最低入学年令用の中で一番サイズの小さい服を、袖や裾を折り曲げ、紐で留めて着ていた。


 リオンが利用したのはその紐で、だから完全に着崩れてしまっている。


 それを直して、森を抜ける為に西へと進む。


 途中で、急ぎ足で向かって来ていた神官長の一団と鉢合わせた。


「アイン?何故此処に?」


 中の1人が眉を顰めて当然の疑問を口にする。


 その神官長にアインを任せ、他の神官長たちは先を急ぐ。


 任された年若い男性の神官長は注意と罰は後にする事にして、まずはとっくに午後の授業が始まっている教室へ急ぐ様にと告げる。


 同時に、強い力が光を伴って立ち上った。

ご覧いただきありがとうございます。


追跡していたファンとクロードは、拘束されていたアインを発見。クロードはアインを連れ戻しますが、ファンは一足先に禁足地の奥へと足を踏み入れます。


そして物語の最後に、「強い力」が光を伴って立ち上りました。


この力は、巫女姫ジャンヌと赤髪のリオンが求めたものなのでしょうか? そして、扉の先にいる二人の運命は――


【今後の連載スケジュールについて】


物語はさらに核心へと迫ります。続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる」と感じていただけたら、ぜひ評価ポイントの入力(☆☆☆☆☆)やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


【本作は第1部まで執筆完了済みです。安心して連載にお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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毎日の楽しみになっています。無理せず執筆頑張ってください。
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