第4話・呪いの魔剣は揺らめいて~青き刃が切り開く~
第6章 導く光~そして…~
第4話・呪いの魔剣は揺らめいて~青き刃が切り開く~
膠着は、一瞬。
「ヴィンテ」
最初に動いたのはファンだった。
迷いもせずに床を蹴り、その手の神剣を振り上げる。
青い輝きを纏うそれは風の神剣。
「ディアス!?」
「ちょ……っ!!」
「……っ!!」
驚いたジャンヌがファンを呼び、ギョッと目を見張ったリオンが声を上げ、クロードもまた息を飲んだ。
ファンの肩に手を添えるような体勢で姿を現したのは長い髪の男。
風もないのに揺らめく髪は一本一本が異常に太く、ツタのようになっている。
様々な色合いの『緑』を集めたような緑色で、その先端は空気に溶けるように消えていた。
今のアインよりも、なお青い顔色で、同じように表情もないので本当に幽鬼のようにも見える。
けれど、それを裏切る生気に満ちた、落ち着きのある青い瞳が、静かにアーグに向けられていた。
風の神剣に宿る意思が、ファンの求めに応じて動く。
「…無駄なことを…。っ!?」
笑みを深めたアーグの唇が、微かに嘲りの言葉を刻む。
直後、ギョッとして息を飲んだ。
呪いの魔剣にはめ込まれた、アインの心の宝石が突然光を増す。
カタカタと、微かに揺れ動いていることに、アーグだけが気付いていた。
「え…?」
「「「っ!?」」」
驚いたのはジャンヌたちも同様。
「なぜ…っ!?」
声を荒げたアーグの前で、呪いの魔剣から濃紫の宝石が弾け、アインの体に飛び込む。
「………ふ…っ」
その瞬間、苦痛に顔を歪めたアインが、吐息と共に血を吐いた。
グラリと、身体が揺れて倒れかかる。
「っ。アイン――!」
即座に、クロードが手を伸ばす。
その体の脇を、青く光る鎌鼬がすり抜け、倒れかかったアインの左腕を掠めて、その後ろにいたアーグを襲った。
パッと、散った朱色を浴びて、アーグが魔剣で鎌鼬を斬る。
床に着く直前でアインを抱きとめたクロードが、追撃を兼ねて戦斧を振るう。
それを受けるのを厭って、アーグは床を蹴って大きく下がった。
「アイン!!」
「クロード!?」
ジャンヌと、リオンが同時に叫ぶ。
「なぜだ!!」
同様に、アーグも声を荒げて『アイン』を睨んだ。
「どうやって自ら心の宝石を取り戻した!意思のない、心のない状態で、動きもせずに、どうやって!!」
荒ぶるアーグの声につられたのか、呪いの魔剣が赤黒い炎を噴き上げ、静まり、刀身そのものさえもが揺らめく。
もはや魔剣はきちんとした『剣』の姿を保っていなかった。
怒鳴り散らすアーグに答えられる者など居るはずもない。
アインは苦し気に息を引きつらせ、喀血と痙攣を繰り返し、そんなアインを抱いたクロードは油断なく神剣を構えてアーグを見据える。
そのクロードの元にジャンヌとリオンは駆け寄り、ファンは再び鎌鼬を放った。
鬱陶しそうにアーグは鎌鼬を砕き、振るわれた呪いの魔剣の成れの果ては赤黒い炎を噴き上げる。
「「「「…っ!!」」」」
加減なく迫りくる業火に、それぞれが神剣を構え、具現した意思が光を放った。
ご覧いただきありがとうございます!
第6章第4話は、アインを人質にとられ、膠着した状況をファンが動かしました。
彼が呼び出したのは、風の神剣に宿る意思、「ヴィンテ」。風もないのにツタのような髪が揺らめく、青い顔色の幽鬼のような存在です。
神剣の意思を具現化させたこの一手は、アーグの嘲笑を呼びましたが――その直後、戦況は最大の急展開を迎えます!
呪いの魔剣にはめ込まれていたアインの心の宝石が、突然光を増し、アインの体へと弾け飛びました!
心の宝石を取り戻したアインは喀血し倒れ込みますが、制御の要を失った呪いの魔剣は赤黒い炎を噴き上げ、その姿すら保てなくなります。
最大の切り札を失い、荒れ狂うアーグと、アインの身柄を取り戻したジャンヌたち。怒りの業火が迫る中、物語はついに決着へ向かうのか!?
次話もどうぞお楽しみに!
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【本作は第1部まで執筆完了済みです。安心して連載にお付き合いください。】
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ノリト&ミコト




