第2話・怒りに燃える狂乱の~紅華《べにばな》咲いてなお消えぬ~
第6章 導く光~そして…~
第2話・怒りに燃える狂乱の~紅華咲いてなお消えぬ~
「アインっ!!」
悲鳴じみたジャンヌの声にも、アインの表情は動かない。
けれども、むせるようにして、口の端から紅が散る。
生気の失せた青ざめた顔。
光のない虚ろな瞳。
零れる涙。
それまでと変わらない無表情のまま、突き刺さった刃と、唇を伝う血の紅。
ぽつり、ぽつりと零れる涙は、徐々に光を失って、ただの雫となって落ちるだけ。
薄く開いた唇から零れる息は、苦しそうに喘いでいるのに、身体は微動だにしない。
医務殿の病室に寝かされていたアインは白い寝衣を身に纏い、素足のままで立っている。
ここに連れ込まれてから起こった様々なことに巻き込まれ、白衣はすっかり薄汚れ、赤黒いシミがこびりついていた。
そこに新たに、紅い華が咲いていく。
うっすらと、口元に笑みを浮かべたアーグはアインから手を放す。
ほぼ同時に床を蹴って、その場を飛びのいたアーグを追って、クロードが戦斧を大きく回した。
クロードの視線が、一瞬アインを捕らえる。
「…っ!」
グッと奥歯を噛みしめて、瞳に怒りを燃やしてアーグを睨んだ。
大きな音を立てて床を叩いた戦斧が、鋭い土槍をいくつも生み出し、アーグの退路を断つ。
退路を断たれても、表情に余裕を見せるアーグは、その手の剣を横に薙ぎ、次々と土槍を倒していった。
「こ…っ、のぉ…っ!!」
加勢するかのように、雄叫びを上げたリオンが神剣を振り下ろす。
その切っ先から炎が噴き出し、蛇の様にアーグを襲う。
「懲りないというよりは、学習能力がない」
苦笑したアーグはあっさりと炎の蛇を打ち砕く。
間合いを詰めたリオンが剣を振り下ろす。
けれどアーグに軽く受け止められ、振り払われてしまう。
うまく受け身を取れなくて、背中から床に叩きつけられてしまったが、その目に浮かぶ闘志は一切衰えていない。
「っ。リオン!!」
「大丈夫だっ!」
呼び掛けたジャンヌに応えるように飛び起きた。
その動きを邪魔させないように、クロードが再び肉薄する。
神剣を手に、ジャンヌも立ち上がって床を蹴った。
そのすぐ後を、ファンが守る様に追う。
ちらりと一瞬、ファンもまたアインを見た。
両手で掴んだナイフを自身の胸に突き立てたまま、アインはその場に立ち尽くしている。
微動だにせずに立っていられるのは、おそらくアーグに操られたままであるから。
クロードはもちろん、ファンもそうと察して、意識の一部をアインに向けたままで、アーグに剣を振るうジャンヌを手伝う。
それぞれの神剣が、激しく明滅を繰り返す。
土が、火が、風が、光が、縦横に荒れ狂い、アーグを倒さんと暴れ回った。
ご覧いただきありがとうございます!
第6章第2話は、アインの負傷という悲痛な状況の中、ジャンヌたちの反撃が描かれました。
アインが零した光る涙で全回復した4人は、土、火、風、光の4つの力を縦横無尽に荒れ狂わせ、アーグに猛攻を仕掛けます。
しかし、アーグは悠然とその攻撃を捌き、アインの胸にはナイフが突き刺さったままという極限の状況は変わりません。
ファンとクロードの2人は、意識の一部をアインに向けたまま冷静にアーグの動きを牽制。一方、ジャンヌとリオンは、ただ怒りと焦燥の中で、がむしゃらに剣を振るうという、苛烈な状況です。
果たして、この戦いを乗り越え、アインを救う術は存在するのか?
次話もどうぞお楽しみに!
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【本作は第1部まで執筆完了済みです。安心して連載にお付き合いください。】
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ノリト&ミコト




