第1話・輝く刃、煌めく雫~満ちる光は誰のため~
第6章 導く光~そして…~
第1話・輝く刃、煌めく雫~満ちる光は誰のため~
眩い光が辺りを染める。
朱金。
青。
赤。
黄。
夜明けを思わせる金色混じりの朱色は、ジャンヌが持つ光の神剣が放つ色。
空の青そのものの青い光は、ファンが持つ風の神剣から。
ぬくもりとともに激しさを感じさせる橙に近い赤色は、リオンが持つ火の神剣が放つ光。
そして、クロードが持つ地の神剣は、戦斧に姿を変えたまま、黄色い光を辺りに広げる。
「…っ」
呪いの魔剣を手にしたアーグが、微かに息を飲む。
振り下ろしかけた手が止まり、即座に身を引く。
直後、それまでアーグがいた場所を、4色の光の刃が走り抜ける。
呪いの魔剣に掠められ、腕を切り落とされたかのような、それ以上の痛みに、動くに動けなかったファンが、震える体に力を込めて立ち上がる。
神剣の意思に暴走されて、疲労困憊で座り込んでいたリオンも、グッと膝に力を入れて身を起こす。
戦斧から吹き上がる光の奔流に全身を包まれたクロードは、アインに体を向けたまま、油断なくアーグに切っ先を突き付ける。
そして、一度は取り落とした神剣を、必死に伸ばした手でジャンヌは掴む。
「バカな…なぜ…!」
驚愕の声を上げたアーグが見ているのは、ジャンヌではない。
その後ろ、両手でしっかりとナイフを握りしめ、今しも刺さんと構えたアイン。
「………」
青ざめた顔に表情はなく、霞がかった瞳はぼんやりとして光はない。
なのに、頬を伝う雫が、ひとつ、ふたつと降り注ぐ。
ぽつり、ぽつりと零れた雫が光を放ち、刺されたジャンヌの傷を癒す。
「…アイン…?」
唖然として、ジャンヌはその名を呼ぶ。
零れる雫が増えるほど、生じる光は増えていき、アインを中心にして白い光が広がる。
その光が体に触れた途端に、ファンが負った掠り傷も、そこから生じるありえないほどの痛みも消え、リオンの体からは疲労感が消え去る。
ジャンヌも、クロードも、傷は癒え、疲れは消え、むしろ体が軽くなる。
「…っ!?まさか…!!」
何かに思い至ったのか、アーグが微かに目を見開く。
グッと、唇をかみしめてアインを睨んだ。
「…水の神剣…?」
呟くように言うと同時に床を蹴る。
呪いの魔剣を少し引いて、左の手を前に突き出す。
ハッとして、ジャンヌは身を起こし、クロードも戦斧を構える。
ファンとリオンも床を蹴って駆けつけんとした。
「「「「…っ!!」」」」
身構える。
その横を、アーグが抜ける。
驚いて振り返ったジャンヌとクロードの前で、何とか駆けつけようと走るファンとリオンの前で、アーグはアインの手を掴み、その手のナイフをアイン自身に向けさせた。
「「…なっ…!?」」
思わず声を上げたのはジャンヌとリオンの2人だけ。
けれどファンとクロードも、思わぬ動きに目を見張る。
「させませんよ。水の神剣は使わせない」
切っ先が、その胸に深く突き刺さる。
冷ややかな眼差しがアインを睥睨し、感情の消えた冷徹な声が響く。
その手の魔剣にはめられた、アインの心の宝石だという、濃紫の宝石がほんのりと光っていた。
ご覧いただきありがとうございます!
第6章第1話は、4本の神剣が同時に放った光によって奇跡が起きる幕開けとなりました!
更に、疲労や傷が一瞬で癒え、力が満ちる4人。この回復をもたらしたのは、なんとアインの瞳から零れた雫が放つ白い光。
水の神剣だと気づいたアーグは一転、アインを標的とします。ジャンヌたちを治癒した直後のアインの手を取り、ナイフを彼自身の胸へと突き刺しました。
魔剣の制御に心の宝石を奪われ、今度は命まで狙われたアイン。
第6章は、この最大の窮地から始まります!
次話もどうぞお楽しみに!
【今後の連載スケジュールについて】
続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
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【本作は第1部まで執筆完了済みです。安心して連載にお付き合いください。】
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ノリト&ミコト




