第10話・約束~守るため、守られて。誓いは強く、祈りを込めて~
第1章 戦う女神の選んだ巫女姫
第10話・約束~守るため、守られて。誓いは強く、祈りを込めて~
「えーん。えーん」
小さな子供が泣いている。
まだ2歳か3歳の幼い少年。
皇太子宮の一角にある坪庭の木陰を指して、何かがいると訴える。
「どうしたの?カルロス?またおばけがでたの?」
弟の泣く声を聞きつけて、1つだけ年上のジャンヌがやって来た。
目の前に立って、にっこり笑う姉に弟は「うん」と頷く。
「でも、あねうえがきてくれたから、いなくなったよ」
まだ鼻をぐずつかせながらジョンが答える。
実際、木陰で揺らめいていた何かの影は消えていて、気配もない。
「あねうえはすごいね。おばけをおいはらえるんだ」
お化けが消えて、ジョンの顔にも笑顔が戻ってくる。
ジャンヌはますますにっこり笑って「じゃあ」と言った。
「わたしがカルロスのこと、守ってあげる。おばけなんて、わたしはぜんぜんこわくないもの。どんなおばけが来ても、おいはらってあげる」
力強い言葉に「ほんとう?」と聞き返す。
「うん。わたしは、めがみのみこなんだから、おばけくらい、かんたんにおいはらえるのよ」
「まかせて」と笑うジャンヌに、ジョンも笑って頷く。
「うん。ありがとう。あねうえ」
笑い合う幼い姉弟を、大人たちは微笑ましく見守っていた。
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皇太子宮の一室に10歳くらいの少年が寝かされた部屋があった。
エスパルダ皇太子であるジョンの部屋だ。
カルロス・グラジオス・ジョーン。
ジャンヌの1歳年下の弟。
5年前、魔族に呪いを掛けられて以来、目覚める事も、成長する事もなく眠り続けている。
眠っている様に見えるだけで、実際には時が止まった様な状態。
そのおかげで生きていられるとも言えた。
「カルロス。具合はどう?」
夕方の皇太子宮。
ジョンの見舞いに訪れたジャンヌは、切なげに呼び掛ける。
この弟は、ジャンヌを守ろうとして、アーグに呪いを掛けられた。
きっと、呪いを解くにはアーグを倒すしかない。
「今日ね、神殿に行って来たの。女神の至宝を取りに……」
守ってあげると約束した。
なのに、守られた。
だから……
「今度はわたしがカルロスを救ける。その為なら、何だって出来るわ。魔族を、アーグを倒す……!」
グッと、ジョンの右手を両手で握り締める。
それからそっと、髪に触れ、頬に触れる。
「だから、もう少し。あと少しだけ、待っていてね。そして……」
アーグを倒して、呪いが解けたら、また以前の様に一緒に遊ぼう。
また、笑顔を見せて欲しい。
その為に……
戦い、きっと勝ってみせるから。
ご覧いただきありがとうございます。
これにて第1章は完結となります!
第10話は、ジャンヌの行動のすべてを突き動かしている「個人的な誓い」を描きました。幼い頃の「守ってあげる」という約束。そして、その約束を守れなかったがために自分を庇って眠り続ける弟、ジョン(カルロス)を救い出すという決意。
彼女の原動力は、神剣の使い手という大義ではなく、ただ1人の大切な弟を救いたいという、純粋で強烈な想いです。
神剣を手にしたジャンヌたちが、この強い意志のもと、次なる目的地である魔族アーグの打倒に向けてどのように動いていくのか――いよいよ第2章の始まりです!
引き続き、お付き合いいただけますと幸いです。
【今後の連載スケジュールについて】
続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
【読者の皆様へのお願い】
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また次回もどうぞよろしくお願いいたします!
【本作は第1部まで執筆完了済みです。安心して連載にお付き合いください。】
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
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ノリト&ミコト




