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第7話 銃声とサク

いつも読んでくださりありがとうございます!

今回は赤鎧団が初めて直面する外敵、野盗との戦闘回です。

少しずつ“敵側”の事情も見えてくるので、ぜひ楽しんで読んでください。

---


拠点全体がざわついていた。

銃を持った兵士たちが走り、松明の炎が揺れる。

監視所からの報告によれば、数十人規模の野盗の一団が北側通路に迫っているらしい。


「持ち場につけ! 迎撃準備!」

鋭い声を上げるのは、女将軍カレンだった。

堂々とした姿に、兵士たちの緊張も一瞬で引き締まる。


俺は鉄骨の仕切りの中から、その光景を呆然と見ていた。

昨日までただのオタクだった俺が、今はまさに戦場の真ん中にいる。


(やべぇ……これ、現実で“リセットできない戦闘イベント”ってやつじゃん……)


そんな俺に、シエラが駆け寄ってきた。

「お前は動くな。ここにいろ。足手まといになるから」

「そ、そうするけどさ……あの野盗、数けっこう多いんだろ?」

「それがどうしたの。私たちが叩き潰す」

言い切るシエラはかっこよかったけど――同時に、危うさを感じた。


なぜなら拠点の入り口は広すぎる。

まとまって突っ込まれれば、いくら精鋭でも押し込まれる危険があった。


(……あ、これ完全にまずいパターンだ。やるなら入口を狭めて、ボトルネック作らないと……)


気づけば俺は声を上げていた。

「ちょっと待った! 入り口に資材積んで、道を細くした方がいい! 一本道にすれば、数で押されなくて済む!」


シエラが振り返る。

「……は? 何を言ってるの?」

「経験があるんだよ! 狭い道なら一人ずつしか入れないだろ!?」


場の空気が一瞬止まった。

だがその直後、カレンが短く命じる。

「……面白い。やってみろ。資材を運べ!」


兵士たちが一斉に動き出し、木箱や鉄骨を積んで通路を狭める。

野盗の影が迫る中、拠点の入り口はあっという間に細い一本道へと変わった。


「来るぞ!」

銃声が轟き、闇の奥から女の声が飛んできた。


「赤鎧団さんよォ、倉庫の中身を分けてくれるだけでいいのに――そんなに守り固めちゃって、ケチ臭いわね!」

「私たちが欲しいのは生きるための食料よ! 血なんて最初から流したくないんだから!」


甘ったるく挑発するような声色なのに、言っていることは冷酷で現実的。

皮肉と本音を混ぜたその響きに、思わず耳を奪われた。


だが通路は狭く、先頭の数人しか突入できない。

赤鎧団の兵士たちが次々に撃ち倒し、敵の勢いは削がれていった。


やがてその小悪魔めいた声が再び響く。

「今日は引いてあげる。でも覚えておきなさい――腹をすかせた女は、理屈よりも欲望に動くものよ」


血と硝煙の中で、その言葉だけが妙に耳に残った。


野盗は撤退し、通路には死体と血の臭いが充満する。

兵士たちは息を荒げながらも勝利の歓声を上げた。


カレンが俺の前に歩み寄り、鋭い目で見据える。

「……異物。だが、使える異物だ」


その言葉に、シエラは悔しそうに唇を噛む。

けれどその頬は、ほんのり赤く染まっていた。

ここまでお付き合い頂きありがとうございます!

アキトの知識が初めて役立ち、野盗のリーダーも顔を覗かせました。

この先の展開にも関わる重要キャラなので、ぜひ注目していてくださいね。

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