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第13話 祈りの影、迫る

教団の影が赤鎧団に忍び寄る。

狙われるのは「男」という存在――アキト。

不安と緊張の中、それでも焚き火の残り火のように小さな絆が芽生えていく。

赤鎧団の地下拠点は、焚き火の温もりが消えるより早く緊張に包まれた。

見張り台から駆け込んできた兵士が声を張り上げる。


「将軍! 丘の上に十数の影! こちらをじっと見ております!」


場の空気が一気に凍りつく。

カレンは即座に立ち上がり、鋭く命じた。


「全班、配置につけ! 焚き火を消せ!」


兵士たちは慌ただしく動き出す。

俺は護衛に囲まれて司令室の一角に押し込まれた。

周囲の視線が痛いほど突き刺さる。

――そう、まるで俺が“問題の中心”そのものだと言わんばかりに。



広げられた地図の上に、シエラが石を置く。

「敵影十数。動きは遅い。……教団の連中でしょうね」


カレンが腕を組み、顎に手を添える。

「野党ならすぐに突っ込んでくる。だがあれは待っている……」


「……フラグ待ちイベント、ってやつだな」

思わず口を突いて出た俺の言葉に、シエラが鋭い視線を寄こす。


「アンタね……真面目に考えなさいよ。兵士が聞いたら不安になるでしょ」


「いやいや、真面目にだよ! 向こうは俺をおびき出す“条件”を探してるんだ。ゲームで言えば、特定キャラが出るまで進行しないやつ!」


カレンは黙考したのち、静かに頷いた。

「……確かに理屈は通る。教団にとって“神の証”を得ることが目的なら、狙いは明白だ」


ゾクリと背中を冷たい汗が伝う。

(やっぱ俺じゃん……完全にターゲット確定じゃん……!)



外のざわめきは収まらない。

「守り切れるのか……」「もし本気で来たら……」

兵士たちの声は不安を隠せない。


俺は壁にもたれて深呼吸した。

(……マジでバッドエンド臭しかしない。次の選択肢、間違えたらゲームオーバーだぞ……)


その時、シエラが近づいてきた。

腰に手を当て、呆れた顔で俺を見下ろす。


「顔、引きつってる。アンタ、そんな調子で狙われたら真っ先に捕まるわよ」


「お前なぁ……フォローの仕方ってもんがあるだろ」


「事実を言っただけ」

ツンとした口調だが、ほんの一瞬だけ声が和らぐ。

「……でもさ。アンタがここにいると、皆ちょっと安心してんのも確かなんだよ」


心臓が跳ねる。

その目はすぐに逸らされたが、赤い頬は焚き火の残り火だけのせいじゃなかった。


(……ツンデレって、こういうことかよ。現実で見る日が来るとは……)



「夜明けまで警戒を維持する」

カレンの声が広場に響く。

「赤鎧団はここで踏ん張る。敵が何者であろうとだ」


「「了解!」」

兵士たちの返事が地下に反響する。

恐怖の裏に、不思議な結束が芽生えていた。


俺は唾を飲み込みながら心の中で呟く。

(……教団。次は間違いなく直接イベントだな。俺が“ターゲット”のまま……どうすんだよこれ……)



---

お読みいただきありがとうございます!

今回は赤鎧団の日常から一転、教団の脅威が本格的に迫る回でした。

シエラの本音が少し顔を出したのもポイント。

次回はいよいよ教団との初接触。ぜひご期待ください!

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