第13話 祈りの影、迫る
教団の影が赤鎧団に忍び寄る。
狙われるのは「男」という存在――アキト。
不安と緊張の中、それでも焚き火の残り火のように小さな絆が芽生えていく。
赤鎧団の地下拠点は、焚き火の温もりが消えるより早く緊張に包まれた。
見張り台から駆け込んできた兵士が声を張り上げる。
「将軍! 丘の上に十数の影! こちらをじっと見ております!」
場の空気が一気に凍りつく。
カレンは即座に立ち上がり、鋭く命じた。
「全班、配置につけ! 焚き火を消せ!」
兵士たちは慌ただしく動き出す。
俺は護衛に囲まれて司令室の一角に押し込まれた。
周囲の視線が痛いほど突き刺さる。
――そう、まるで俺が“問題の中心”そのものだと言わんばかりに。
◇
広げられた地図の上に、シエラが石を置く。
「敵影十数。動きは遅い。……教団の連中でしょうね」
カレンが腕を組み、顎に手を添える。
「野党ならすぐに突っ込んでくる。だがあれは待っている……」
「……フラグ待ちイベント、ってやつだな」
思わず口を突いて出た俺の言葉に、シエラが鋭い視線を寄こす。
「アンタね……真面目に考えなさいよ。兵士が聞いたら不安になるでしょ」
「いやいや、真面目にだよ! 向こうは俺をおびき出す“条件”を探してるんだ。ゲームで言えば、特定キャラが出るまで進行しないやつ!」
カレンは黙考したのち、静かに頷いた。
「……確かに理屈は通る。教団にとって“神の証”を得ることが目的なら、狙いは明白だ」
ゾクリと背中を冷たい汗が伝う。
(やっぱ俺じゃん……完全にターゲット確定じゃん……!)
◇
外のざわめきは収まらない。
「守り切れるのか……」「もし本気で来たら……」
兵士たちの声は不安を隠せない。
俺は壁にもたれて深呼吸した。
(……マジでバッドエンド臭しかしない。次の選択肢、間違えたらゲームオーバーだぞ……)
その時、シエラが近づいてきた。
腰に手を当て、呆れた顔で俺を見下ろす。
「顔、引きつってる。アンタ、そんな調子で狙われたら真っ先に捕まるわよ」
「お前なぁ……フォローの仕方ってもんがあるだろ」
「事実を言っただけ」
ツンとした口調だが、ほんの一瞬だけ声が和らぐ。
「……でもさ。アンタがここにいると、皆ちょっと安心してんのも確かなんだよ」
心臓が跳ねる。
その目はすぐに逸らされたが、赤い頬は焚き火の残り火だけのせいじゃなかった。
(……ツンデレって、こういうことかよ。現実で見る日が来るとは……)
◇
「夜明けまで警戒を維持する」
カレンの声が広場に響く。
「赤鎧団はここで踏ん張る。敵が何者であろうとだ」
「「了解!」」
兵士たちの返事が地下に反響する。
恐怖の裏に、不思議な結束が芽生えていた。
俺は唾を飲み込みながら心の中で呟く。
(……教団。次は間違いなく直接イベントだな。俺が“ターゲット”のまま……どうすんだよこれ……)
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お読みいただきありがとうございます!
今回は赤鎧団の日常から一転、教団の脅威が本格的に迫る回でした。
シエラの本音が少し顔を出したのもポイント。
次回はいよいよ教団との初接触。ぜひご期待ください!




