第1話 冴えない俺の現実
初投稿、初作品になります。ぼちぼちやっていきますのでよろしくお願いします
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俺の名前はアキト。二十代半ば、独身。
趣味はゲーム、アニメ、ラノベ。以上。
……いや、ほんとにそれしかないんだよ。
会社では空気みたいな存在で、飲み会に誘われても端っこでポテチ食ってるだけ。
同僚からは「暗い」とか「根暗」って言われてるし、親戚からは「彼女どころか友達すらいないの?」と直球で聞かれる始末。
ああ、わかってるよ……俺が冴えないってことくらい。
そんな俺が今、一番真剣に取り組んでること。
それはパソコンの前でやる戦略シミュレーションゲーム、『帝国創造記』だ。
「よし、ここで徴兵制導入っと。食料は交易で補填して……おお、反乱率下がった!」
思わず声を上げる俺。
別に誰も褒めてくれないけどな。
現実じゃ、俺は税金に苦しむだけの一兵卒みたいなもんだし。
でもゲームの中なら、俺は王様だ。政策一つで民が泣き笑い、国が繁栄する。
――まあ、現実と違って失敗してもセーブデータでやり直せるけどな。
ふと画面の端に、ニュースの速報がポップアップした。
《男性出生率の低下が深刻化。政府は緊急会議を――》
「ふーん……また少子化だのなんだのか。俺には関係ねぇな」
俺は即座にウィンドウを閉じ、ゲーム画面に戻った。
正直、時事ネタとか政治のニュースなんて興味ゼロだ。
俺に大事なのは、新作アニメの放送日と、次にどうやって帝国を発展させるかってことだけ。
……だから俺は気づけなかったんだ。
街から少しずつ男の姿が減っていたことにも。
電車の広告が「妊活支援」「体外受精無料化」ばっかりになっていたことにも。
それら全部を「俺には関係ねぇ」で済ませてしまった。
現実の俺はどうしようもない冴えないオタク。
だからこそ、せめて夢を見る。
「……俺も異世界に転生して、女の子に囲まれて“陛下”とか呼ばれたいわ」
そう呟いた瞬間、モニターの光が妙に揺らめいた。
遠くで救急車のサイレンが鳴る。
俺は「近所で事故でもあったか」としか思わなかったけど――
世界は、確実に狂い始めていた。
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