第九話、彼と日記とカップラーメン②
次の日から私は彼を探しながらも、どこか彼を恐れる日々が始まった。会っちゃったらどうしようと思いながらもずっと目は彼を探してしまっている。病室に居ても廊下を歩いていても上を向いても下を向いても。
何度かあの屋上まで行ってみようかとも思ったが私はそれでもあの日記のことを話すべきか悩んでしまって、動けなくなった。
冷静に考えればあの屋上に行っても会うことになる可能性は極めて低かった。それでも記憶の中で一番彼を感じてしまうあの場所に私はやっぱり行けなかった。私の少ない記憶の中で……。
人間とは不思議だ、自分が記憶喪失だって忘れてしまう、すでに新しい記憶の中を生きている。
私にとって彼との出会いはそれほど大きなものだったのか、もしくは記憶がないまっさらな頭にはどんな出来事も鮮明すぎる程に刻まれるのだろうか、丁度、幼い頃には全てが新鮮だったように。
よく分からない。
そして私はこんにちはする。新しい月に今晩の月に「少し大きくなられましたね」って。まぁ、なんだって良いのだ、私が記憶喪失なことなんてきっと私ぐらいしか本当には気に留めて居ない、日記の持ち主が彼でも、まだ返してなくたって、秘密裏に持っていたって、どうだっていいのだ。この月にしてみれば小さなことだ。
長年書き溜めたものを数話ずつまとめて投稿します。それを一日に3回ほど投稿しようと思っています。ブックマークしていただけると参考になりますのでよろしくお願い致します!!!




