第六十一話、また。
きっと、歩夢は…
知っている。
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私はすぐに、帰りの身支度を始めた、もうそこに歩夢は居なかったけど、私の心は安堵を感じていた。
「きっとこれでよかったのだ」
夕暮れ時にはもう一切の荷造りを終えて、帰りの便までの時間を潰していた。さすがに歩夢へ最後の挨拶をしようと思って、待っていたが、彼は一向に現れなかった。私はついに部屋を出ることにした。あの日記を置いていくか、もしくは置かずに行こうかと考えていると、つい、うたた寝してしまっていた。急に目が覚めて、焦った。フライトは19時、今は17時、もうチェックイン時間だ、空港までは電車で40分。
私は一目散に走った。荷造りを終えたリュックサックだけを背負い。とにかく空港に急いだ。
電車に乗った。パスポートを確認する、しっかりリュックサックの一番上のポケットに入っている。更に時間を調べる、このまま行けば、フライトの一時間10分前には着きそうだ。荒ぶる呼吸を落ち着けながら思う、私にここに残るように何かの力が働いているのだろうか、いや、ただ寝てしまっただけだろう、とにかく落ち着いて、空港に付いてからのコースを確認した、チェックインカウンターと、そこまで行く最短ルート。
結局、飛行機には乗れてしまった。どこかで乗れなくて、歩夢にまた会って、やっぱり私って…。そんなロマンティックな映画の様な展開は私にはなかった。
成田空港に付いても、迎えはなかった、それはそう、両親にはまだ九州にいることにしているし、友達への連絡もしていなかった。ひとまず予約した、空港そばのビジネスホテルに向かって、私はまた明日からどうするかを考える、放浪の日々に再会した。
孤独はもう感じなかった。慣れっこだ。




