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第五十四話、「一人、個室だったから」
ホテルに帰って、日記を久しぶりに開くとそこに映る歩夢は、キムチを食べて見た歩夢と重なる存在に見えた。まるで皆既月食で変色したような月に、私の中の歩夢が変身を遂げた。
喜びと緊張の融解点はソレほど高くはなかった。
「行ってきます」最後に見た両親の顔が浮かぶ。
「どうしたの私」感じたことのない寂しさを胸にぷつりと感じた。お父さん?お母さん?
まだ疑問符だったけど、会いたいって、純粋な意味でたぶん初めて思った。あれ、痛い、胸がく・る・しい?私はわたしである。孤独かぁ「これが孤独か」
「孤独」苦しいじゃないか。私はオナニーを始めた。




