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第四十七話、何でも良い

「どしたの、何かあった」

 マスターは直ぐに異変に気づき、私はその変化はネガティブなものではないことを教えた。わたしは別に弱っているわけではない事を伝えたが、マスターは自分が夕飯を用意すると消化に良さそうな豆乳の鍋を手際よく用意するのだった。私は彼の優しさに浸りながらその出汁の効いた鍋を頬張った。鍋の暑さがますますいつもと違う気分にさせた。

「ねえ、私達って付き合ってるよね、」

「うん、一般的に言ったらそうなるんじゃないか、一緒に住んでるわけだし」

 その理屈っぽい返答にはどこか確信に迫らないマスターの気遣いが見えた。

「だったらさ、私たちもっとやることあるんじゃない?」

「えっ何」

 分かっているくせに自分からは動かないんだ。

「あのさ、お酒飲みたい」

 私は返答を聞かずに冷蔵庫から缶の甘めのお酒を二本取り出した。

「今日はつきあってよね、」

「いいけど、やっぱり何かあったみたいだ」

 マスターは不思議そうに缶のフタを二本開けた。

「なんかっていうか、そういう気分なの」

 私はかわいこぶってソファに腰掛けてぐいっと身体にその甘い液体を流し込んだ。

「あっついな」

 羽織っていたパーカーのチャックを少し下げた。

「エアコン消すかい?」

 マスターはいつもみたい落ち着いていて優しかった。その冷静さが少しジれったくて私は彼にもお酒を飲むようにお願いした。

「かんぱい」

「はい、乾杯」

 動きだけそれっぽく付き合って、ほんの少しだけ缶を口に当てた。

「よし食べよう、やっぱり先に食べてから飲むのが好きだな」

「はーい」

 私は可愛く物分かりの良い’’少女’’を演じた。


 夜の帳が降りて私はまた明日を願った。そう、その晩も結局わたしは勝負を仕掛けられなかった。一体全体私は何を怯えてるのか自分に腹が立った。ああ、歩夢にも腹が立った。腹の底から、、いやまてよ私は彼女、いや彼のこと、それは関係がないはずではないか。私は何を彼のせいにしたいのだろう、できるのだろう。結局私は……。自分自身を知らないんだから。

 次の日、私は家を出ることにした、

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