第二十四話、「最強?」
自室に戻って考えるのは両親のことではなかった、むしろ解いたはずの怒りは別の場所に向かって伸び始めた。
学校に行ってる意味は本当に分からない、何も覚えていない中で良く心理学科で大学生を始めようと思った。客観的に見れば再開なのかもしれない、でも私にとっては試験なしで二年目から大学を始めたことになる。紗栄子も居たし、教授にも会えた。家でゴロゴロするより確実に良かったから、そこに後悔はない。それでも周りには分かってもらえようがない、今の自分の葛藤は自分の内に溜まるばかりだ。カウンセリングにはもう、うんざりだ。その辺のカウンセラーは映画「グット、ウィル、ハンティング」とは違うんだから、いや違わないか、あの大学教授は、あれ大学教授だったか、そういえば私の教授近いかも。数日前に紗栄子の勧めから見たのに。まあ、とにかく家はこうだし、今の生活の半径は梅という人物の半生で埋め尽くされている。私はその残像と同一化しようとしてたり、その仮面を自分なりに作ってみて被ってみたりした。記憶が戻るというより心は魂はどんどん解離して行くような。
とにかく自由じゃない。もう耐えられそうにない、
というか耐える意味あるのかな?
そっかもう耐えなくてもいいんだ、
そういえば私、何の為に今の生活に耐えてるんだ。
……。
私、歩夢に会いに行く。
会いに行けばいいじゃん。
思い切って荷造りをしてる内に寝ていた。あたりがうっすら明るくなって来て、私は窓を開けて登ってくる太陽に挨拶した。
深呼吸して、彼の日記を読むことにした。彼とたまたま会った日のコーヒーが飲みたくなった。音を立てないようにそっと一階に降りて父親がいつも使ってるコーヒー道具を取り出した。
美味しいの淹れることに成功した。何だか薄い色に思えたが自分にはぴったりだった。
日の当たる窓辺に椅子を持ってきてコーヒーを飲む、苦いけど美味しい。朝日が気持ちい。それから私は自分の頭の中を整理した。寝起きには全部忘れていた程度のこと、それだから新しく生き出せるんだ、そう思えば私の悩みなんて取るに足らない米粒の様なもの。そんなことを考えコーヒーで流した。
昨日の出来事を基点としてヒモずる式に思いだしたのは驚愕の事実だった。ああ私、記憶喪失なんだった。私、この半年くらいの記憶、思い出して、スッキリ忘れられた方が良いだなんて。思い出せない記憶が私を陥れてるって思ってたのに。
「私ー」
朝日が鋭く私を刺した。
「もしかして、最強?」




