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第十一話、セキュリティ。

 マンションをエレベーターで上がるとそこは中々の上階で、うちは金持ちなのか、と思った。この綺麗なエレベーターに広々とした廊下。玄関は白い大理石に照明が反射していた。まるで新品の中履きをもらって、ほこり一つない薄茶色のフローリングを進んだ。

「ここが梅の部屋よ」

 両親が言った。もちろん部屋には見覚えがなくて気分的には経済的に余裕のあるホストファミリーに迎えられた留学生。言葉は分かるけどね。

 両親はいかにも良い親、感動の帰宅といった具合にドアの所で肩を寄せ合わせて立っていた。「疲れたから寝るね」と言うと両親は慌ててドアを閉めてぎこちなく普段の生活に戻った。

 部屋を見渡すと随分綺麗に整頓されていて、目に付く飾りなどなく、シンプルな様子だった。やっぱり私の部屋ね。もちろん眠くなんてないから。色んな引き出しを探して自分の情報を探した。すぐにスマートフォンを見つけたから充電器も探して充電した。

「あぁ、でもなんか落ち着かない」

 そうだあの青年は幼馴染って言ってたわよね、家が近いってことだわ、どこなんだろう。携帯が使えれば見つかるはず。私は急いで携帯の電源を入れる。電源が入らない。充電器を探して、充電する。

 顔認証のためにパスワードが必要なの。覚えてるわけないじゃん記憶喪失だよ。

 私は21世紀のセキュリティの高さに腹が立った。

 両親に誕生日を聞いたりして何度も格闘したんだけど、完全敗北した。なんて用心深いのわたしわ。自分に溜息がつく。たまってるだろうメッセージの返信もめんどくさかったし、これ以上格闘しても何か見たくないことでもあるんだと思ったら憂鬱になった。

 新しい携帯を買ってもらうことでひとまず解決とした。

「ねぇお母さん、あの私の幼馴染って覚えてる?」

「あっ、歩夢君ね。どうかしたの」

「あ、やっぱり分かるんだ」

「それは、そうね、幼馴染だから」

「うん、そっか。私達って最近も仲良かったのかな」

「どうかしら、梅、お母さんには男の子と遊ぶ時、教えてくれなかったから」

「男の子って幼馴染でしょ」

「それは、そうだけど、ねぇ」

 なんだか物言いたげだったが私は更に聞くことはしなかった。

「歩夢君お見舞い来てくれたんだ」

「まぁね、家の場所か連絡先わかるかな」

「確か住所と北川さんの家の番号はあったはずよ」

 北川なんだ苗字。

「見つかったら教えて」

 そう言い放って、何かを悟られないようにクールを装って部屋に戻った。

 あとで聞いたんだが父親が止めて来たらしい。理由は分からないけど思うに娘を持つ父の心配か嫉妬か。

記入されていた番号に電話をかけたがもう解約していて。家に行くしか他になかった。

「うん、行くかぁ」

 私はベットに転がり天を仰いだ。小刻みに弾む自分の鼓動がうるさくてストレスだったけど、その日はもう遅かったから決断は先送りにして寝ることにした。

「あぁ日記返さないとな。」


 話の量はこのくらいで良いのでしょうか?もう少しまとめるべきか、ブックマークもしていただけると作品への注目も高まりますので助かります。

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